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甲子夜話の面白き世界(第17話)海獺の話しなど

甲子夜話の世界第17話

(今までの「甲子夜話の面白き世界」の第1話からは ⇒ こちら から読めます)

今回は海の生き物です。
まず「海獺」ですが、何と読むでしょうか。「獺」の漢字は今や日本酒の銘酒として知られる「獺祭:だっさい」が有名です。
獺祭は正岡子規の別称と、酒つくりの場所の地名「獺越:おそこえ」からつけられた名前だそうです。
この「獺=おそ」 とは「カワウオ=川獺」をさします。
川獺=かわうそですから「海獺=うみうそ、うみおそ」というようですが、辞書を引くと一般には「ラッコ」と読む場合が多いようです。
では江戸時代の甲子夜話にはどのように紹介されているのでしょうか。ここではラッコはでてきません。

《1》 海獺(うみをそ)

平戸のある画工が描いた一図を示す。
写真の図は天保三辰正月の初、平戸城の北の釜田浦横島と云う処で捕らえた海獣である。
生魚を食べて死魚は食べない。
けれども飢えていると、死魚も食べる。人はその名を知らない。
ある人が云うには。
水豹だろう。漁師はこれを売って、金四両に替えたと。
後、ある本草家に質をして、その意を得たという。

詳しくは以下の通り。
このケモノ、その顔面は鹿に似ていてどう猛ではない。
色は灰黒色である。毛は長くない。
つみげ(動物の毛)は、柔らかい。
ひれ肉に毛がある。
大筋は五条あって、人の手の様に屈曲する。その五筋の先に小爪がある。
陸を歩む時、このひれを手の様にしてよく走る。
その尾ひれ、また足の様にして走る。
その尾ひれもまた前ひれの様に五筋あって、左右に分かれて付いている。その中央に小さな尾がある。
生魚を取って食べる。
海中に死魚がないので、生魚を好む。

漢名 海獺    和名 うみをそ

このうみをそと云うものに二種ある。
気褐色のものを『とど』と云う。
佐州(佐渡)はとどの島が最多い。
灰黒色のものを『あしか』と云う。
相州(相模)はあしかの島が多い。
二種共によく眠ることを好む。
国によって黃褐色のものをも、あしかと云う処がある。
その大きいものは、一丈(3㍍)位に至るものがいる。
その肉は煎って油をしぼる。油が多い。また味噌漬けにして炙って食べる。
『本草』にある。
大獺、海獺と云うも同じものである。

うみうそ

続篇 巻之77 〔3〕  ← クリック 元記事

《2》 海獣、オットセイ

『余録』に書いたこと。
寛政四年壬子冬に領内松浦郡大島の漁師の家の棚下に一頭の獣を捕えた。
図を併記(写真)。
獣は犬のようで身は長く、細い毛は短く滑らかで光っている。
背はねずみ色で腹は茶褐色。歯があって犬のようでいて牙はない。
耳は極めて小さく、頭の左右にある。前足は魚のヒレに似て肉がある。
表は毛があって、手のひらがある。爪と見られるものが五つ。
後ろ足も魚の尾に似て肉の掌がある。五本指に三本の爪が生えている。
爪と爪の間にみずかきがある。この両足の間に尾がある。
小さくて仔犬のようだ。その下に陰戸がある。
メスである。人はその名を知らない。

小野氏の『本草講説』を考えると、海獺である。
後、村人の話すことを聞く。この獣はあしかと謂う。
津吉の浜で見ることがある。
小近、五島〈津吉、小近、五島、みな領内の地名〉の両地もまたあり、海中を群れて行く。
あるいは、石の上に上り伏せている。
その中の一獣は眠らず、人が来れば、たちまち海に入る。
そのほかも従って海に没して、跡を見ることはない。

この獣は波打ち際に上がるといっても、歩くことは出来ない。
だから、石の上から転倒して、水の中に身を沈む。
けれども海中においては、水面を走る、原野の鹿のようである。

また、商舶が玄海の洋中で見ることもあるという。
ただ、全身を見た者はいない。
またある人が云う。
オットセイに牝牡があると。
牡はその歯が重なり生えていて、牝は一重である。
とすると海獺はオットセイの牝である。
今年、捕まえたものは、歯が一重で陰戸がある。
その形は尤も似ている。すると村内にもオットセイがいるにちがいない。
海獺も得ることが難しいので、未だその有無を知る者はいない。
   図は下の写真の通り

『仲正家集』
我が恋はあしかをねらうえぞ船の
      よりみよらずみ波間をぞ待つ
これを顧みると、三十五年前の文である。
されども往時を思い返せば尚追ってみたくなる。
この獣を捕したとき、大島の漁師の家では幼児を失ってしまった。
母親は子がいなくなったことに気づき、戸外の棚下を捜した。
獣がいて、子を傍らに置いていた。
母親は怒って、木でこれを殴り殺した。
子は既にこと切れていた。
だから、この獣を取り去り物と人は云った。

その後、死骸を取り寄せてみると、腹の大きさごすんにも肥えていて、囲一尺五寸余りである。
首と尾はこれに応ず。
それで縄で頭をくくって、提げて揺らしてみたら、身体の柔らかく萎えて骨がないようにしていて、振ると波状に動く。
ただそその生臭い獣の臭いは人は耐えられない。
鼻を覆わなければ、近づき視ることは出来ない。

海獺2

巻之80 〔27〕  ← クリック 元記事

《3》 ムツゴロウ

孫啓が西帰りの途中で見たと描いた物を肥州(静山さまのご子息)より和州(不明)に送り、わしに転送した。
ムツゴロウ(魚の名-欄外注記)、肥前国白石浜にいる魚である。
よそへ移しても生きられぬ。
おとがい(顎の下)の下鰭(ひれ)の様なものがあるが足である。
これでよく歩む。
人が来るのを知ると、躍って砂穴に入る。
矢の如く速やかである。
これを獲るには砂に穴を掘ってとる。
人の如く瞬きをする。大きい物で六寸ばかりとのこと。
......................
ここからは、静山さんが本草啓蒙と食療正要から転載された内容。
『本草啓蒙』に云う。石ひつ(魚に必)魚。ムツ→京(ムツと京では呼ぶ)。カワムツ→京。モツ。モト→若州。ヤマブト→勢州。コウジバエ→阿州。
渓潤流水及び池沢に多くいる。形はハエに似て狭長。細鱗に嘴は尖り、口は大きい。吻に砂がある。よく虫を食う。小さいもので六七寸。あるいは八九寸に至る。色は淡黃褐でわずかに黒が帯びる。脇に一本の黒い線がある。上下の鰭(ひれ)の色が赤くなるのをテリムツと呼ぶ。またアカムツ→江州、コケムツ→江州と云う。
これに対し常に小さな物をクソムツ→江州、シロムツ〈『食療正要』と云う。また海魚にムツがある。一名ロクノイヲ(奥州。国名を避けて名を易しくしている)、クジラトオシ→筑前、東西諸州にある。筑後筑前の泥海に最多しと『大和本草』にあり。形はニベに似て小さく、紫黒色で黒線がある。細い鱗に大きい頭、眼もまた大きい。尾には股がなく、鱗は硬い。身の長さは七八寸、あるいは尺の物もいる。油多し。煎じて灯油にする。肉の味は蛋白、下品〈げひんではなく、上物ではない〉である、〉である。
以上静山さんによる転載終わり
.......................
また聞く。
同州(肥前)の小城(オギ)戸川の辺りでは、売り物として、旅の客が買い求め、旅中の馬上で食べていて、すこぶる珍味だとのこと。
またある人が云う。「この魚は佐賀領に多くいる」。
また云う。
「かつてこの魚を長崎で見たが、とくに性分強い物と知った。料理されるところを見たが、首と尾を切り離すときに、首と尾の肉が動いて生きている様であった。形はイモリによく似ている。だからかの地の人は賞味しても、形がイモリに似ているので、心もち悪くて人は食べようとしないなあ」。
また云う。
「かつて佐賀領の旅宿で膳が出された時、平椀の蓋をとり見ると、中にイモリが入っているではないか!驚いて女中に聞くと、ムツゴロウですと答えたと」。
と、するとイモリによく似ている物だろうよ。
そうしたら前の図と形状が違うのではないか。
べつの種類なのか。
わしは思う。
この魚はムツと云うのを、ここ佐賀ではムツゴロウと云うのは、イモリに似ていると云えば、イモリは黒色だから、ムツグロと謂うべきを、肥人の訛りで、グロをゴロウと呼ぶ物になったのではなかろうか。

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続篇 巻之25 〔10〕  ← クリック 元記事

《4》 ウキキ(マンボウ)

東の海のウキキと云う魚は未だ形を見る事も無いが、辛亥の東觀中に長崎の宿老德見茂四郎も東来してわしの邸を訪問して、水戸侯へ参りこれを食したと云う。
またその臣に請いて本物の図を得たと見せてくれた。
わしはすぐにその図を写した(写真参照)。
ウキキの本性の文字はない。
ゆえに献上するにも仮名で認(したた)め上げる。
魚の大きさはニ間四方(一間は181.818㌢)、中には三、四間余りもある。
夏ばかり捕れる魚で、常陸沖に夏の気候になると浮かぶ。
俗に浮亀鮫と云う(『余録』)。
これを林氏に語ると、夏ばかりこの魚はが採れる事は今まで知らなかったが、これで解った。
年々七月、十ニ月に水戸侯より贈り物がある。
その添品は七月はう、十ニ月は鮭の粕漬けである。
これは冬はウキキが無いという談である〈水戸では、サケには鮭の字を用いるとのこと〉。

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巻之35 〔23〕  ← クリック 元記事


甲子夜話の面白き世界 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2021/10/10 05:49

ひょうたんランプ展(こんこんギャラリー)

 昨日は八郷の「こんこんギャラリー」に立ち寄りました。
はじめてのひょうたんランプ

この灯りが独特の世界感を表わしているようです。
灯りは暖かく壁にともされる光の文様はまったくの別世界。

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昨日は「ふるさと風の会」の会報印刷日。
コロナでの自粛解禁で会報を配りにあちこちと。
瓦会まで来たので、ここに立ち寄る事にしました。
幾何学模様だけでなく、鶴や狐が輝いています。
翼から光が放たれ、夜空に飛び立ちそうです。

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外は雲って薄暗く、会場内はランプの光だけが光ります。
まったく素敵なおとぎの世界・・・・

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御伽噺の世界の狐も楽しそうですね。

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笠間の白狐たちも皆寄ってくることでしょう。
高橋協子さん・・・・静神社のきつね手ぬぐい、写真がぶれてうまく撮れずにごめんなさい。
ランプの狐を見て直ぐに思い出していたら、壁に懸けられていました。
楽しい世界感でした。

山口裕史(筑波傾金堂)
ひょうたんランプ展
〜華鳥風月・和洋折中〜
10月1日(金) ~ 10月10日(日)
11:00 ~ 17:00

今日(10/10)で終わりですね。


ことば座・風の会 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2021/10/10 13:11
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