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甲子夜話の面白き世界(第22話)鯨の話し

甲子夜話の世界(22)

(今までの「甲子夜話の面白き世界」の第1話からは ⇒ こちら から読めます)

 今回は鯨、特に異国船の鯨捕り船の話です。
江戸時代は日本でも鯨捕りは行われていたようですが、これも地域差があり平戸藩では「もり」で突いて捕るやり方があったようですが、北のほうではあまり知られていなかったようです。
また、外国の船が日本近海に来て鯨油をとる目的で、鯨を捕ったりしていたようです。

《1》 銚子沖での異国船の鯨漁

巻之六十 五 銚子沖での異国船の鯨捕り
 ある人が北総常陸の辺りに来て、河口、銚子の浦に泊まって沿岸の住民に聞いた話。
5年ほど前、異邦人が三里ほど沖の方に舟で出入りし、その舟の印である小旗を皆巻いて印が見えないようにして、まったくはだか船のようにして、そこに碇を下ろして停泊していた。
その船では、目立たぬ様にして鯨を捕り、その肉から膏(あぶら)をしぼり、それを煮炊きする燃料にし、鯨の骨、皮筋も用いた。
その魚膏は船の中に貯えておき、田舎から都にくる「肥し船」と称している。
異国を5月に出て、稼いで8月に帰国するとのこと。
この異国船が初めて来た頃は、お上の申令が厳しく、お達しが浦から浦に伝わっており、魚長より小舟の漁師まで驚いて領主の耳に入れて、最寄りのお代官に申し出る心得となっていた。
ところが、異船から通訳らしい者が、我々は全くの魚膏を得る為に来ているだけで、他に怪しいところはありませんからと漁師たちにはなしたという。
この為に地元の漁師たちも利益があればと、追々内密にしてしまい、年々益々多くの異人船が沖に益々やって来るようになった。
今では、異人たちが鯨捕りで稼ぐ事が絶えなくなった。
世の諺、油断大敵と云うべきである。
されどこの位はどうと云うこともなし、その政(まつりごと)に諜報なしと云うことになるのだろうか。

巻之60 〔5〕  ← クリック 元記事

《2》 小名浜の辺りの鯨漁
巻之六十 一三 奥州白河郡小名浜の辺りの異国船と鯨漁
 この前に、総州銚子の海で異国船が、漁業で稼ぐことを聞いた。
またある人が云う。
奥州白河郡でも小名浜の辺りにも何方か異国人が来て鯨漁をしたり、油をとり、平たい船の様な船に鯨の皮、肉をおさめていると。
定めるには、元船(母船)がもっと沖の海洋中にあるにちがいない。
8月になると必ず帰るという。総州の船と同じものか?

巻之60 〔13〕  ← クリック 元記事

《3》 捕鯨器具の「もり」
巻之八十 ニ四 漁の器具で「もり」のこと
先年わしは望んで、伊庭軍兵衛に剣術を習った。
同門に林田長次郎がいてよく話をした。
その父は御勘定役で、かつて佐州(佐渡)在勤の時に奇異な物を得たと話した。
それは、ある時、死んだ鯨が波打ち際に漂い、潮が引いて留まったのを農民、漁師が大勢出て、その肉を割り取っていた。
その鯨の背中に槍の刃の様な、剣の様な、長さニ尺ばかりの物が刺さっていたという。
その茎には土肥組の三字が刻まれていた。
思うに違う地域の剣か?その事はつまびらかにならなかった。
父は数金に換えたいと云い、佐渡の官庫に納めた。
それは今もまだ持っていると云う。
わしはこれを聞いて笑い、これはわしの領する壱岐の鯨が漂着した物で、土肥組は壱州(壱岐)の魚頭・土肥市兵衛の目印だと。
この様な数柄を持って鯨を突く漁の器具で「もり」と云うといった。
林田は大いに敬服した。
わが国(平戸藩)から三百里も離れれば知らないのも道理であろう。
例えてみれば、千百里離れた所にある器を好いて珍重するのは、溺器(尿器)を以て茗壺(茶器)と例える様なものであるなあ。

巻之80 〔24〕  ← クリック 元記事

《4》 江戸の祭りでの鯨見世物
巻之ニ十六 〈2〉 鯨
 鯨は海洋を泳ぐ時に必ず背口から潮を噴く。
それをはかると高くて丈余りに過ぎている(3m以上)。
因みに遥かに臨んでみると、鯨が海中を行くのを知った。
凡そ鯨は最巨大の魚だと言えども、腹の中に食物があることはあまりない。
たとえ有ってもわずかなものである。
然るに先年、江戸の山王祭、神田祭、何れの祭りのときだったか、この鯨の飲み込んだ鯨魚をお作りして出していた。
その貌はほとんど本物の魚と変わらない。
そして、祭りの上覧所の前では鯨の腹中に竜吐水(手押しの消防ポンプ)を設けて、背口から水を噴き上げること数丈。
この吹き上げる水に魚を追加して、かの水(竜吐水)から魚を突き上げていた。
観る人は本当の鯨が陸地にいるようだと感嘆していた。
然れども実を云えば、非なのだ。
これは祭事で人を喜ばすためであり、この様な有り様を止められないのだ。

巻之26 〔2〕  ← クリック 元記事

甲子夜話の面白き世界 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2021/10/15 05:50
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