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常世の国(6) 竜宮城(浦嶋子伝説)

 年初めから数回にわたり常世の国に関する記事を書き、一旦終了としたのですが、後からの考察に便利になる事柄が見つかりましたので数回分記事を追加しておきたいと思います。

まずは「浦島太郎」の昔話(常世の国=竜宮城と考えられる)の元になってあろう「浦嶋子(うらしまこ)伝説」について紹介しておきます。

常世の国(6)

昔話の浦島太郎については、もう皆さんは良くご存知だと思います。
(あらすじ)
浦島太郎は、浜で子供達が亀をいじめているところに遭遇し、その亀を買いとって海に放してやりました。
すると数日後に亀があらわれ、お礼に太郎を背中に乗せて海中にある竜宮城へに連れて行きます。
竜宮城では乙姫様が太郎をたくさんのご馳走や舞で歓待し、何日経ったかも忘れて過ごしました。
地上が恋しくもなった太郎は帰る意思を伝えると、乙姫様は「決して蓋を開けてはいけない」という玉手箱を渡されます。
太郎はまたもとの亀に乗って元の浜に戻ってくると、もうその地上では700年もの年月が経過していたのです。
太郎は乙姫様のが忠告を忘れて玉手箱を開けてしまいます。
すると中から白い煙がでてきて、太郎は白髪でしわだらけの老人の姿になってしまいました。

(いつ頃作られたのか)
この浦島太郎の話は明治半ばに、童話作家「巖谷 小波(いわや さざなみ)」がまとめた『日本お伽噺』に掲載された子供向けの昔話を明治政府が学校の国定教科書に取り上げて、一般に広まったといわれています。

しかし、この話には「浦嶋子(うらしまこ)伝説」といわれる話が存在します。
この話が書かれているのは『日本書紀』『万葉集』『丹後国風土記逸文』にそれぞれあり、内容も多少違いはありますが、ほぼ同じようです。

まずは日本書紀(720年成立)の雄略紀にかかれているものを記します。(ブログ浦島説話研究所:『日本書紀』の「浦島説話」より)

二十二年、秋七月、            雄略22年(478年)秋7月
丹波國餘社郡筒川人瑞江浦嶋子、   丹波國餘社郡筒川に水江浦嶋子という人物がいた。
乗レ舟而釣、遂得(二)大龜(一)。     舟に乗って釣りをしていると、遂に大龜を得た。
便化(二)爲女(一)。             龜は女性に化した。
於レ是浦嶋子感以爲レ婦、         浦嶋子は女性の放つ妖艶な魅力に感じて、女性を妻とした。
相逐入レ海、到(二)蓬莱山(一)、      海に入った二人は、蓬莱山に至った。
歴(二)覩仙衆(一)。             そこで、不老不死の仙人をつぶさに目にしたのである。
語在(二)別巻(一)。             詳細は別巻に在る。

このように詳細は別巻によるとなっていて、これは現在見つかっていない。
一方これを詳細に表わしているのは豊後風土記の逸文だ。
詳細は省くが、概要は、
・與謝郡日置里の筒川村の住人で、日下部首等の先祖にあたる、筒川嶼子という一人の人夫がいた。
・筒川嶼子は、美男子で、風流も類が無いほど優れた人物で、いわゆる水江浦嶼子と呼ばれた者である。
・嶼子は海に出て釣りをしていたが、三日三晩一尾の魚も釣り上げることができなかったが、「五色龜」を得た。
・嶼子が眠っている間に、忽ち、龜は美しく妖艶な「婦人」に変身した。
・嶼子はその婦人に「人家は遥か遠く、広い海原が広がるこの場所に、どうやって来ることができたのか。」と聞いた。
・その女娘は微笑み、「素敵な男性が一人大海原にいるのを目にし、風雲に乗りやってきたの。」と答えた。
・嶼子は「風雲とはどこから来たのか。」と聞くと、
・女娘は「仙人が住む天上界から来たのです。お願いですから私と親しくしてくださいね。」と答えた。
・嶼子「望むところです。」と答えた。
・女娘は「貴方が船を漕いで下さい。蓬山に行きましょう。」といった。
・女娘は嶼子を眠らせ、海中の大きな嶋に着いた。そこは宝玉が一面に敷き詰められたように美しいところだ。
・門外の殿は暗く見えたが、内の高殿は光り輝いており、見たことも聞いたこともない世界だった。
・二人が手を取り合って進んで行くと、一軒の見事な家の門にたどり着いた。
・女娘は「少しの間、ここにいてください」といって、門の中に入っていった。
・すると七人の童子が来て、この人が龜比賣の夫だね、と語り合った。また八人の童子もやって来て同じことを言ったので、女娘の名前が龜比賣であることがわかった。
・戻ってきた女娘に童子(竪子)等のことについて聞くと、七人の童子は昴(スバル)星。八人の童子は畢(アメフリ)星。です。
・女娘は嶼子を案内して中に入ると、そこには女娘の両親が出迎えてくれ、挨拶をして坐に座った。
・両親は人の世と仙界との違いについて説明し、人と神とがたまたま出会えた喜びを語った。
・珍しい数々の料理が並び、兄弟姉妹たちも酒の杯を重ね合い、仙界の人たちの歌は透き通るように響き、連なる舞も神々しかった。黄昏時になり、宴に参加していた多くの仙人等は三々五々席をたった。
・その後、二人は肩を寄せ合い夫婦となった。
・嶼子が仙界に留まってから既に三年の月日が流れたとき、突然、望郷の念にかられ、嘆く日々が日増しに募ってきた。
・その様子を見た女娘は「最近様子が変で、顔色もすぐれず一体どうしたとのでしょうか。理由を教えてください。」と
・嶼子は素直に、親元を遠く離れ、今は神仙の世界にいるが、できれば故郷の戻って親に会いたいことを告げた。
・女娘は涙を拭い、語り合っては嘆き悲しんだが、遂に嶼子と女娘はそでを合わせ、別れのときをむかえた。
・女娘や父母、親族等が悲しみをこらえ見送った。その時、女娘は玉匣を嶼子に手渡した。
・そして、「どうか私のことを忘れないで。また再会しようと思うのなら、この匣を決して開けないでください。」といった。
・二人は別々の船に乗った。
・嶼子はまた眠につき、瞬く間に故郷・筒川に着いた。
・しかし、そこの様子は一変していて、嶼子は里の人に自分の家族が今どこにいるのかを聞いた。
・村人は、「あなたは一体どこの方ですか。村の古老から、昔、水江浦嶼子という人物がおり、一人で海に出たが再び帰ってこなかったと聞いた。もう三百年余りも前のことですよ」と。
・呆然とした嶼子はあたりを歩き回るが、父母とも会うことができず、一月が経過した。
・嶼子は玉匣を撫で、神女に思いを馳せていたが、契った約束を忘れ、玉匣を開けてしまった。
・たちまち、蘭のような芳しき本質を有した玉匣の中身は、風雲につれられて天空に飛翔してしまった。
・神女との約束を破った嶼子は、二度と会うことができなくなってしまったことを悟り、後ろを振り返り、佇み、悲嘆の涙にくれながら、歩き回るだけだった。

さあ、どうでしょう。浦嶋子のこの昔のお話がどのように現在の昔話へ変化して行ったのかは興味がわきますね。
でもこの頃の常世の国が中国の理想郷である「蓬莱山」であり、竜宮城とは言っていませんね。
また、亀がきれいな婦人に変ってしまい夫婦になるのも大きく変っている点です。

今回はもう少し検証するのは止めて、調べた事を記しておくに留めます。

ブログ浦島説話研究所さま:勝手に内容を少し省きながら使わせていただきましたことお許しください。


常世の国 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2023/01/18 14:06
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