fc2ブログ

つくば市北条(11)

 昨年つくば古道の江戸時代の参拝入口にあたる「北条」を数回にわたり紹介してきた。
この時は常陸国府「石岡」との関係を見ながら見てきたが、ここを訪れる人たちは、昔の多気大掾氏はもうイメージとしてもわかない存在なのだと思った。

多気太郎の五輪塔は観光案内の地図にも載っていたが、それはこの地の昔にいた氏族の歴史であり、常陸国の大掾職としての関東平氏との考え方は地元にも残っていない印象を受けた。

歴史が古すぎるのだろう。これも致し方ない。
石岡が歴史の街といってみても、一般の人には思い描くことが難しい過去のできごとになるのかもしれない。

北条は、江戸から見て筑波山が鬼門というので、大切にされ、それにより多くの参拝者や、筑波への道が作られて栄えてきた。
この方が観光客にはよっぽど馴染み深いに違いない。


さて、鬼門は丑寅方向で東北方面だが、江戸初期の民衆への思想的な統一のためにもこの筑波の寺が大切にされたという。

その証拠に筑波山の知足院中禅寺(現在の筑波山神社の場所)に家康は500石を寄進し、家光により山門、社殿、鐘楼などが寄進されたのである。
しかし、これも明治初期の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)によって寺院や仏像が取り壊され、神社の信仰が広まったため、筑波神社があたかも江戸時代の信仰対象と見られてしまっている。

正月にお参りに行ったときも大御堂は人はほとんどいなかった。

もともと筑波山は万葉の頃から歌にも歌われ、徳一法師をはじめ、空海(弘法大師)などにより仏教の霊地としての信仰の対象となっていた。
鬼門などという考え方は、後からそう解釈していっただけのことのように感じている。

位置関係を見ると、東京(江戸)から東北方面に線を引いてみると、この筑波山があり、その延長線上に水戸がある。
さらに線を伸ばすと東海村になる。村松山虚空像尊の場所になる。
この虚空像尊には「丑」と「寅」の像が、狛犬代わりに置かれている。

これは江戸時代ではなく空海の頃に考えられた位置関係のような気がする。丑寅は後からのものに違いない。

IMG_4897s.jpg

北条地区は昨年の竜巻で大きな被害を受けた。
被害を受けたところと無傷のところが極端だが、今では表面的には復興しているように見える。
北条の中心地に江戸時代の商店として使われた建物が残っている。
外観はこのような店蔵(土蔵)作りである。

「宮本家」(宮清商店)である。

この宮本家には8棟の建物や蔵が残っているが、全て国の有形文化財に指定されている。
奥にある蔵では「宮清大蔵コンサート」などが時々行われ、海外からのオーケストラ(ウィーンフィルなど)によるクラシックなどが行われ、人気を博しています。

IMG_4903s.jpg

弘化4年(1847)の建築で、昭和30年代まで醤油の醸造販売やお米販売を行っていたようだ。
160年ほど前から続いてきた商店には、昔使った数々の懐かしい道具などが展示され、見学することができる。
上の地図は昔の北条の街の全図で、その下の額に入っているのは明治18年に書かれた、この屋敷の見取り図。
更に、その左の写真は、昔の屋敷と車の写真です。

IMG_4904s.jpg

このような階段を使ったタンスのような作りは、私も昔見た記憶のあるものです。
今では本当に懐かしいものとなりました。

IMG_4905s.jpg

屋敷の説明書

IMG_4906s.jpg

上の写真に写っている枡(ます)は醤油の秤り枡です。昔は醤油もこの枡で測って売っていたのです。
買う人は瓶を持って測った醤油を買うのです。年配の方には懐かしいと思う方もおられるかもしれません。
私は、すでに醤油を測って買うということは経験ありません。

醤油用の枡のとなりには米の秤枡が置かれていました。

IMG_4909s.jpg

その他、元禄時代の銭函や、天明期の引き出し、弘化2年製作の証文箱、有明行灯などが展示されています。

IMG_4910s.jpg

上の写真は大正時代(大正9年?)のキャッシュレジスター(機械式)です。
輸入品です。当時100台程アメリカ?から輸入され、全国の百貨店などに納入されたものの1台とのことです。

IMG_4899s.jpg

敷地の裏通りには水路がある。これは昔多気氏の頃に整備されたものが形を変えて受け継がれているのではないかと思う。

明日に続きます。



にほんブログ村 地域生活(街) 関東ブログ 茨城県情報へ  ← よろしければクリックお願いします。

つくば市北条 | コメント(6) | トラックバック(0) | 2013/01/11 18:41
コメント
そのレジスター???
本当に驚きですね。私も本郷を紹介した記事の中で
大正時代からあるフルーツパーラーに、ほぼ同じと
思えるNCR製のレジを見つけたのでした。
しかも、現役だったのです、そのレジは。
お晩です、Romanさん。
自分の見たあのレジと同じものを見れるなんて
有難いものです。
kozoh55 さん
> 本郷を紹介した記事の中で大正時代からあるフルーツパーラーに、ほぼ同じと
> 思えるNCR製のレジを見つけたのでした。しかも、現役だったのです、そのレジは。

それはすごい! 現役なんて。
NCRのレジスターを調べたら当時年間100万台以上生産されていたらしいですね。
今のコンピュータの小型高速化の進歩のスピードがすごいので、昔の電卓を思い出しました。
また30~40年くらい前にはオリベッティで計算した覚えもあります。

> 自分の見たあのレジと同じものを見れるなんて有難いものです。

こういうものを残してくれるといいですよね。私も嬉しいですね。
レジの現金をこのような機械でやるのは大型のデパートやスーパなどで導入されたのでしょうが
このような個人商店にも使われていたんですね。

どうやら初めは便利だというよりも、店員に売上をごまかされないようにするのが主目的だったようです。
なんとなく昔の様子が目に浮かんできます。ありがたいことです。
No title
おはようございます。
いつも興味深く拝見しています。

>奥にある蔵では「宮清大蔵コンサート」などが時々行われ、海外からのオーケストラ(ウィーンフィルなど)によるクラシックなどが行われ、人気を博しています。

蔵は壁に漆が混ぜ込まれているので音の響きが柔らかで音楽会や朗読会に適しているようですね。
秋田でも高清水と言う酒屋さんの蔵でいろいろな催しがあります。
蔵の雰囲気も加わって居心地の良い会に感じられます♪~

箪笥階段も素敵ですね。
生活の知恵と端正な美しさと揃っていて 町屋の優しさや暮らしが伝わってくるような気がして憧れます。(我が家には置きようがないので 憧れるだけですが)

長火鉢は実家の物置で見つけ 鉄瓶共々ピカピカに磨いて 夏場に灰もきれいに洗って玄関のインテリアにしています。
外出先から帰った時にも「おかえり」と白い割烹着姿の母が出迎えてくれた頃のような安堵感と懐かしさがあって大切に飾っています。

枡は実際に量り売りをしている時代の経験はありませんが映画で見た 斉藤道三が今流にいうと油売りのアルバイト?をしている場面を思い出しました。

触ったことのないものでも なんだか懐かしい気持ちになる日用品の数々…現代のプラスティックと異なり削ったり磨いたりすると新品同様になり その手触りも削りなおした木の香りもいいものですよね。
大切なことを思い出させて頂きました。
言の葉IS 様
おはようございます。

> いつも興味深く拝見しています。
 ありがとうございます。

> 蔵は壁に漆が混ぜ込まれているので音の響きが柔らかで音楽会や朗読会に適しているようですね。
> 秋田でも高清水と言う酒屋さんの蔵でいろいろな催しがあります。
> 蔵の雰囲気も加わって居心地の良い会に感じられます♪~

こちらでもいろいろ取り組みがあります。
コンサートもありますし蔵でピザ屋さんなどもやっていたりしますね。
でもコンサートができるにはある程度の大きな蔵でないと出来ません。
秋田の高清水も有名なお酒ですよね。昔はよく飲みました。

> 箪笥階段も素敵ですね。
> 生活の知恵と端正な美しさと揃っていて 町屋の優しさや暮らしが伝わってくるような気がして憧れます。

生活の知恵でしたが、洋風な生活が浸透してほとんど見かけなくなりましたね。
これも仕方がないことですが、このようなものを残して展示していくのも必要ですね。

> 長火鉢は実家の物置で見つけ 鉄瓶共々ピカピカに磨いて 夏場に灰もきれいに洗って玄関のインテリアにしています。

素敵ですね。そのように飾りとしてもあるとホッとするものでしょうね。なにか姿が浮かびほのぼのとします。

> 枡は実際に量り売りをしている時代の経験はありませんが映画で見た 斉藤道三が今流にいうと油売りのアルバイト?をしている場面を思い出しました。

戦国時代の話でしょうか。美濃の道三も油売りしていたのですか。面白い話です。

> 触ったことのないものでも なんだか懐かしい気持ちになる日用品の数々…
> その手触りも削りなおした木の香りもいいものですよね。

木製の家具も昔のものは囲炉裏の煙でいつの間にか黒光りして重厚感が出てくるんですよね。
新しいののにはないその家具を見ただけで歴史を感じさせてくれます。

今日もお越しいただき、うれしいコメントありがとうございました。
六合桝
さまざまな大きさの秤り桝がありますね。
中でも醤油を量るマスに注目です。中ほどにあるのは6合桝ではないでしょうか。醤油の場合は6合という不思議なマスがありました。
このマスで底辺と対向する上辺を縁にすれば3合が量れるのです。1合マスでは3度になるのが1回の手間で済むわけです。ちなみに底面の対角線と上の角を結べば1合になるそうで。
いまでは見過ごしてしまう所に昔の知恵というか、イノベーションを追求する精神を見る思いがします。
忠顕 様
こんにちは。

> 中でも醤油を量るマスに注目です。中ほどにあるのは6合桝ではないでしょうか。醤油の場合は6合という不思議なマスがありました。
> このマスで底辺と対向する上辺を縁にすれば3合が量れるのです。

そうですか、そうやって使っていたのですね、確かにますを傾けて半分の量を測るのですね。
ちょうど6号枡が便利だということでしょう。
面白いことを教えていただきました。 感謝します。

> いまでは見過ごしてしまう所に昔の知恵というか、イノベーションを追求する精神を見る思いがします。

こうした話を聞くと、昔の人の息づかいが聞こえてきます。ありがとうございました。

管理者のみに表示