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茨城の難読地名(その3)-月出里(稲敷市)

難読地名2
 
シリーズ1回目からは ⇒ こちら 

月出里 【すだち】 稲敷市

 「月出里」を「すだち」と読むのですが、これもなかなか読めないですね。
この謂れについてもかなりいろいろな説があります。

1、「角川日本地名大辞典」(茨城県)によると、江戸の元禄郷帳や天保郷帳などに記載されている村名は「月出村」とあり、これで「すだちむら」と読まれていた。これが「月出里村」と「里の字を入れて「すだちむら」なったのは江戸末期頃からで、明治22年に村の合併などの変更により村名が消え、「月出里」(すだち)という大字(おおあざ)となったという。

名前の由来については
(1)地内に大清水という字があり、清水の湧き出る地に由来するという説
(2)地内に上谷原という字があり洲がたっている地に由来するという説
(3)「新編常陸国誌」によると、「出をタチと読めるは、めでたし。月出をツイタチと読めるタチと一つなり。また按ずるに、ツイ(月)の反音チなり」として【チタチ】の音が【スタチ】に転訛した。

2、「筑波地方の地名の由来」(中山満葉著)によると、 
 「月出里の「月出」は「朏(ひ)」のことで、「三日月」。やっと新月が現れ光彩が放たれ始めたさまで、月出里はこういう月を由縁にしている地名であれば、月讀命神を祀っているのではと思われる。その祭神をもって地名にしたのだと思うが、つくば市吉瀬の三日月神社が祀っているのもやはりこの月讀命である。三日月神社は言いかえれば朏神社であり、この月出里も書きかえれば三日月の里、朏の里、朏里(ひり)である。」と三日月説が書かれています。

3、地元(旧江戸崎町)の説明には「月の出る夜に、鳥が一斉に飛び立つ里」の意味だと書かれていた(以前)。

まあ難読地名としての面白みはあるが、どうみてもこの場所が渡り鳥が一斉に飛び立つ場所とも思われない。
湖があるわけでもなく、夜になれば辺りは暗く特に鳥の飛び立つイメージは湧かない。
大昔に小野川などがもっと幅が広かったはずですが、結構川からも離れています。

「すだち」というと徳島名産の「スダチ=酢橘」との関連はないのかなどとも疑ってみたのですが、地元で「すだち神社」と呼ばれている鹿島神社(八坂神社も併設)にもそれにまつわる話もないようだ。

ただ、地図を眺めていると古代の「信太郡」の郡衙があったとされる小野川沿いの「下君山」から、この月出里を結ぶ道路が直線的にのびており、それが昔の官道の遺構ではないかと一時騒がれていたことがあった。

これもまだ、古代の官道跡も見つかっていないし、下君山に信太郡の郡衙(ぐんが)があったかどうかもまだ確認されていない。
この信太郡もかなり古いので、郡衙も初期には阿見町の竹来(高来)あたりにあり、その後美浦村の信太地区に移転し、最後にこの下君山になったのではないかと個人的には思っています。

茨城の難読地名 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2018/06/30 06:30
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