茨城の難読地名(その10)-赤法花

難読地名10

シリーズ1回目からは ⇒ こちら 

赤法花 【あかぼっけ】 守谷市

守谷市は平将門(10世紀前半)がここに城を築いたという伝説が語られていて、それにまつわる伝説がとても多い土地です。

この将門の城といわれる場所は、守谷駅のすぐ東側の「ひがし野」地区にある通称「平台山」と呼ばれる丘の上です。
ここに中世の土塁や堀の跡が残されており、「本守谷城址」または「守谷館跡」などと呼ばれています。

この「赤法花(あかぼっけ)」という場所は、この城跡から少し東の小貝川に沿った地域につけられた地名で、守谷市のホームページなどでは将門伝説の一つとしてこの名前の由来が書かれています。

それによると、「平将門が城内からあたりを見渡したところ、沼の向こう側にある壁が、唐土(もろこし:中国)の赤壁に似ていることから、「あかぼっけ」と呼ばれるようになった」とされています。

しかし、平将門がこの守谷(森屋)城を築いたという確証はなく、実際には将門の子孫を名乗る「相馬氏」の城であったと考えられています。

歴史を紐解いていくと、平安時代後期に実質的な千葉氏の祖といわれる「千葉常重」が上総氏(平常晴)からの相馬郡を譲られ、千葉氏を名乗りました。
そして、北相馬郡のあたりの土地一帯を伊勢神宮の領地として寄進し、「相馬御厨(そうまみくりや)」と呼ばれていた荘園(しょうえん)があったようです。
ただ、この後も源平の対立などもあり、この荘園の所領についてももめたようです。
その後、鎌倉時代になり、源頼朝の有力な家人であった千葉常胤の次男・千葉師常(もろつね)が相馬氏を名乗りこの地を領しました。そして、この守谷城を築いたと言われています。

この相馬氏は、自らを平将門の子孫であると述べており、この城も後世に「将門の城」といわれたことから、「相馬内裏」または「相馬偽宮」と大いに喧伝されましたようです。

「角川日本地名大辞典」でもこの伝承を載せているだけで、地名のその他の由来は書かれていません。

では、将門伝説ではない地名の由来を見ていきましょう。

「赤法花」と今は漢字で書きますが、昭和21年の当用漢字が定められる前は「赤法華」と書かれていました。

この「あかぼっけ」と呼ばれる地名は結構各地に存在します。

・福島県桧枝岐村 赤法華 【あかぼっけ】、赤法華沢【あかぼっけざわ】 (燧ケ岳、桧枝岐川=実川の谷間)
・栃木県下都賀郡壬生(みぶ)町 赤仏 【あかぼっけ】(姿川の最上流部にある窪地)
・茨城県守谷市 赤法花 【あかぼっけ】(小貝川の右岸段丘)(今回の地名対象)
・茨城県筑西市 赤法花 【あかぼっけ】(小貝川の左岸大沖積地)
・茨城県猿島郡五霞町小手指(こてさし) 赤法花 【あかぼっけ】(利根川の右岸大沖積地)

などです。茨城県にも結構ありますね。

一般にはこれらの地名の由来は古アイヌ語(縄文語)ではないかと言われています。

「ボッケ」「ホッケ」「ポッケ」「ハケ」などが、pokであり、崖とか崖下を意味するとするいわれており、「アカ」については、「aka」で、魚の背の線を指す言葉で、地形に使われる時は「山の尾根(稜線)」を指すとされています。

「日本語になった縄文語」(鈴木健著)によると、この「アカ」とつく地名は南は沖縄から北は北海道までたくさんあるとされ、沖縄の久米島に「阿嘉:アカ」、慶良間(けらま)島にも「阿嘉:アカ」があり、土地の形状からしても「断崖」を意味すると考えられ、アイヌ語でも【aka地形では尾根(山稜)を指す。北千島にもある語で崖または岬を指す。】とあり、絶壁の下に住む集落民からの発想で、a われわれの ka 上方 というのが語源であろう となっています。
また赤薙山(あかなぎさん:栃木県)、赤城山(あかぎさん:群馬県)、赤倉山(栃木県)などの「赤:アカ」も崖地などを指している言葉ではないかとしています。

ただ、今の地形から考えても崖地というには少し異なる場所も散見されるため、もっと別の意味があるのかもしれません。
waka (わっか:水)から w が抜けて aka アカとなったことも考えられ、水に関した地名の可能性もあるようです。

その他
・宮城県栗原市 石法花 【いしぼっけ】
・栃木県下都賀郡岩舟町 法花 【ほっけ】
・愛知県岡崎市 法花 【ほっけ】
などという地名もあります。

なお、茨城県の石岡市鯨岡の小字名に「赤法ケ」という地名があります。地元の地名由来によると赤は土の色の赤茶色をした痩せた地土を意味し、「ボック・ホック」は茨城方言で、畑地の間に掘り下げた小さな水田をいう。と書かれています。

もうすでにこのブログでも採りあげていますが、水戸の「木葉下=アボッケ」地名などもこのアカボッケと発音は似ていますね。
関連もあるようですが、詳細はわかりません。

茨城の難読地名 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2018/07/02 16:58
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