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茨城の難読地名(その13)-圷

難読地名13

シリーズ1回目からは ⇒ こちら 

圷 【あくつ】 城里町(上圷、下圷)、水戸市(圷大野)


  この「圷(あくつ)」という字は茨城以外ではあまり読めないでしょう。
しかし茨城県には「圷:あくつ」というお名前の方が多いため、一般に読める方もたくさんいます。

「圷」の意味は漢字が示す通り「下の土」です。 これもその言葉を表すために作られた造語が元なのではないかと思います。
この反対語は「塙(はなわ)」です。

でもなぜ、この漢字が茨城県に多いのでしょうか。

柳田國男が昭和10年に「地名の研究」という本を書いていますが、この中に「アクツ、アクト」という名前の地名を探して研究しています。
その中で、下総に「阿久津(アクツ)村」地う地名を取り上げて、こも阿久津は水運の発達していたときに重要な船着き場であったがこらは違うだろうという。一般に漢字の「津」というのは湊(みなと)を意味することが多いのだが、「アクツ」という言葉そのものが「低地」(特に川の近くの少しジメジメした場所)を指していると述べています。

この中に常陸国志第三、那珂郡常石郷(トキハ)の條に「阿久津は常陸の俗にいう低き地をさして呼ぶ名にて、多くは川に添ひたる所なり、或は圷の字を用ふ。今も常盤村の内にて那珂川に添ひたる地をなべて阿久津と称す。」

また、アクツと同意語として「アクト」「アクド」などをあげていて、「阿久戸」「悪戸」「悪土」「悪田」「悪田原」安久田」などの地名を列挙しています。

城里町にある「圷」「上圷」「下圷」と呼ばれる場所ですが、石岡の方から北へ真っ直ぐ続く「石塚街道」の石塚地区から先は急激ながげとなって下っていて、その下にある地区の名前です。の場所も那珂川に添った場所です。
城里町の前は「桂村」でした。

また水戸市の「圷大野」ですが、ここは那珂川の河口の方に近く水戸駅の東側です。

<参考地名>
福島県郡山市阿久津町
栃木県さくら市上阿久津
栃木県塩谷郡高根沢町上阿久津
栃木県塩谷郡高根沢町中阿久津
群馬県高崎市阿久津町
群馬県太田市阿久津町
群馬県渋川市阿久津
秋田県横手市大雄阿久戸(あくど)
青森県弘前市悪戸(あくど)
秋田県能代市悪戸(あくど)
秋田県能代市鵜鳥悪戸(あくど)
秋田県能代市下悪戸(あくど)
秋田県能代市中悪戸(あくど)
秋田県大仙市南外悪戸野(あくとの)
秋田県能代市上悪土(あくど)
山形県東置賜郡高畠町安久津(あくつ)
岐阜県郡上市八幡町安久田(あくだ)
静岡県磐田市安久路(あくろ)

茨城の難読地名 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2018/07/05 21:34
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