茨城の難読地名(その17)-小浮気

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小浮気 【こぶけ】 取手市
旧藤代町の藤代駅から西へ少し行った6号バイパスと旧6号国道が合流するあたり「小浮気」という地名があります。
藤代駅近辺からこのあたりにかけては、小貝川が蛇行しており、一帯は湿地帯や沼地だったそうです。
また利根川も近くで2つの大きな川に挟まれた地域です。
過去には何度も水害で苦しめられてきたといいます。
地名の由来は「角川日本地名大辞典(茨城)」によると、「地名の『ふけ』は、深田とか沼沢地の意」と書かれています。
日本全国で「浮気」という地名を調べてみると、滋賀県守山市に「浮気町(ふけちょう)」という地名があります。
この地名の由来については、『守山市誌 [第3巻]』に、「地名は水澤の池、水がふけるの意味で、野洲川の伏流水が至る所から湧き、泉や小川となって里中を流れ、常に水気が立ちこめる風景を呼ぶ名称です。」とあります。
浮気という字を当てた理由については、『守山往来』のむらのおこりの項目には、「浮気の村は、沼地のようでありました。ちょうど、浮いているような状態で、水面はいつも雲がたなびいているようでした。水が常に上昇して紫気天に浮かびて動かずという状態であったので、浮気の名があるといいます。」とあります。
アイヌ語などを見てみましたが、沼地に対するようなことばに「フケ」などという言葉は見つかりませんでした。
従って、従来からある古アイヌ語(縄文語)ではなく、奈良・平安頃から使われだしたことばなのかもしれません。
まあ本格的な「浮気(うわき)」はいけないけれど、小浮気くらいならいいのでしょうかね。
また、「浮気」と似た地名を探してみると、「浮田」(ウキタ、ウキ)という地名が青森、岩手、福島、京都、大坂、宮崎に見つかりました。
これも 「ふけ」= 布気、婦気、福家、更など が「泥深い田んぼ」も意味したことばとも言われ、「浮気」と「浮田」は同一の意味だとも書かれたものがありました。
「浮田」の地名から「宇喜多」氏の名前が生じたようです。
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