茨城の難読地名(その21)-高道祖

シリーズ1回目からは ⇒ こちら
高道祖 【たかさい】 下妻市
国道125号線を下妻駅の方からつくば(東)側に少し行き、小貝川を越えた先に「高道祖」と書かれた場所がある。
「こうどうそ」と読んでしまいそうだが、「たかさい」と読む。
この国道の旧道側(北側)には「道祖神社」「高道祖神社」「白山神社」などの神社が並んでいる。
この神社のある一帯は、小貝川からも高くなっているが、まわりからも少し小山の高台になっている。
名前の通り高台にある道祖神を祀った神社がある地域が「高道祖」と呼ばれるようになったことは間違いないだろう。
ではその読み方だが、「道祖」を「さい」と読むのはどうしてだろう。
道祖神(どうそじん)は村の入口、道の別れるところ、峠の頂上などに祀られているが、これは災いの侵入を食い止める役割があるといわれています。
また同時に子孫繁栄を願うという風習がこめられている地域がほとんどです。
そのため、男女の石像などを祀る他に、男根の形をした石や木が多くの場所で奉納されていたりします。
では、全国の「道祖」の名前が付く地名を調べてみましょう。
茨城県下妻市高道祖(たかさい)
栃木県真岡市道祖土(さやど)
埼玉県さいたま市緑区道祖土(さいど)
大阪府茨木市道祖本(さいのもと)
山口県山口市道祖町(どうそちょう)
佐賀県佐賀市道祖元町(さやのもとまち)
などが見つかりました。
「道祖」の読み方も「サイ」「サヤ」「ドウソ」の3つの読みがありましたが、「サイ」「サヤ」が多いようです。
やはり道祖神は「サイの神」と一般によく言われていたのだと思われます。
「サイの神」「サエの神」「サヤの神」など、たぶん地域により少し呼び方は違いますが、皆同じでしょう。
賽の神、障の神、幸の神、境の神(さいのかみ、さえのかみ)などと書く場合もあり、これは道祖神とは同じものだ。
「賽の神」「境の神」も、村や部落の境に置かれ、他から侵入するものを防ぐ神とされ、邪悪なものを防ぐ役割を果すためにこの名がつけられたようです。
地名の読み方が「サイ」「サヤ」などとなっていることは、かなり昔から道祖神は「どうそじん」などとは呼ばれずに、「サイの神」などと言われていたものと思われます。
角川日本地名大辞典(茨城)には、高道祖について、「当地は高台にあるので、「高」が付されたか。とあり、また道祖神の信仰篤く、道祖神社の境内には男根をかたどった大小の石像が奉納されており、毎年正月14日の祭礼には男女の○○をかたどったお供え餅を奉納し、参詣者に配られる。もとは神社に隣接して籠宿があり、宿の南方にある「片葉の葦」とよばれる池に入って沐浴し、お籠もりをすれば下の病が治るという信仰があって、宿が繁盛したという。」と書かれている。
なかなか興味深い。
コメント