茨城の難読地名(その23)-舟生

シリーズ1回目からは ⇒ こちら
舟生 【ふにゅう】【ふにう】 常陸大宮市(旧山方町)、筑西市(旧関城町)
「舟入」、「船入」ともに【ふにゅう】と読みますが、これを全国の地名で調べてみました。
福島県伊達市梁川町舟生(ふにゅう)
福島県伊達市梁川町山舟生(やまふにゅう)
茨城県常陸大宮市舟生(ふにゅう)
茨城県筑西市舟生(ふにゅう)
栃木県塩谷郡塩谷町船生(ふにゅう)
また、「舟入」、「船入」という地名も出てきますが、こちらはすべて「フナイリ」「フネイリ」などと読み、「フニュウ」という読みはありません。
どういうことなのでしょうか?
福島県と茨城県は「舟生」、栃木県が「船生」なのです。かなり地域性がある地名と言えそうです。
栃木県塩谷町の「船生(ふにゅう)」は作曲家の「船村徹」の出身地です。
船村徹は芸名ですので、地名の「船」を入れた芸名にしたのだと思います。
「舟生(ふにゅう)」の由来については茨城県のところには書かれたものがありませんでしたので、福島県の「舟生」「山舟生」について調べると、鎌倉時代ころに、この地域に「船生郷」という郷名があったとされています。こちらの舟生は「船生」と昔は書いていたことが判明しました。また「ふにゅう」「ふにう」という読み方ではなく「ふねお」と呼ばれていた時代もあるようなのです。
こちらの地名由来は山舟生にある「舟形の石」が地名の由来ではないかともされていましたが、これも「羽生」と同じく、「丹生(にう)」
=丹(に)を産するところ が語源ではないかとも言われています。
栃木県塩谷町の「船生」の地名由来については、角川日本地名大辞典には、「鶏岳の東麓、船木沢の渓間に周囲3m余の大木の槿があり、これを伐採して彫船を作り鬼怒川に浮かべて村民が旅人の通行に便を与えたことによると伝えられる」と書かれています。
またこの塩谷町の「船生」の地には「岩戸別神社((いわとわけじんじゃ)」という古社があり、「船生郷」の総鎮守とされましたが、地名の由来などとの関係はよくわかりませんでした。祭神は天岩戸をこじ開けた「天手力雄命」です。
岩や石を信仰して祀っているところは全国にあり、この石・岩が舟形をしているものはところどころにあります。
茨城県城里町にある「石船神社」もまさにご神体が大岩ですが、天鳥船神を祀っているために、境内にある舟形の石も信仰されています。
地名の由来はこれらの舟形の石や木でつくった船などの可能性もありますが、あまり全国的にはみられないため、「舟生」「船生」ともに、「丹生(にう)(にゅう)」が変化したものかもしれません。、「丹生(にゅう)」の他に「壬生(みぶ)」も同じ語源だと思われます。
「丹(に)」とは赤色の顔料に使える土のことです。
赤い色(くれない)のことを丹紅(たんこう)という呼び方などに出てきます。
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