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茨城の難読地名(その45)-狸穴、狸渕、東猯穴町、貉谷津

難読地名45

シリーズ1回目からは ⇒ こちら 

狸穴 【まみあな】 稲敷市、つくばみらい市
狸渕 【むじなぶち】 つくばみらい市
東猯穴町 【ひがしまみあなちょう】 牛久市
貉谷津 【むじなやつ】 ひたちなか市

今回の地名は難読というよりも、混同したと思われる動物名の地名です。
 狸 : タヌキ
 猯 : マミ (魔魅)
 貉 : ムジナ

さて、この3つの動物の違いが分かりますか?

一応は漢字としては違いがあるのですが、地名は全く混同されています。
架空の動物も人をだます動物としては同じようです。

猯=マミ=魔魅 の説明を「Wikipedia」から引用させていただこう。
猯(まみ)はタヌキまたはニホンアナグマのことを言う。
民俗学者・日野巌による『日本妖怪変化語彙』によれば、マミはタヌキの一種とある。一方で江戸時代の百科事典『和漢三才図会』では、「猯」は「狸」とは別種の動物として別々に掲載されている。同書では中国の本草学研究書『本草綱目』からの引用として、山中の穴に住んでいる肥えた獣で、褐色の短い毛に体を覆われ、耳が聞こえず、人の姿を見ると逃げようとするが行動は鈍いとある。
江戸時代にはこの猯、狸、そしてムジナが非常に混同されていたが、これはアナグマがムジナと呼ばれていたところが、アナグマの外見がタヌキに似ており、さらに「貉(むじな)」の名が日本古来から存在したところへ、中国で山猫が「狸」の名で総称されていることが知れ渡ったことから混乱が生じたものとされる。
西日本に伝わる化け狸・豆狸は、この猯のことだともいう。また江戸時代の奇談集『絵本百物語』によれば、猯が老いて妖怪化したものが同書にある妖怪・野鉄砲とされる。同じく江戸時代の随筆『耳嚢』3巻では、江戸の番町に猯が現れたとあり、体色は鼠色、目は太陽か月のようで、杖でたたくとガマガエルの背のような感触だったという。
「まみ」の発音が似ていることから、人をたぶらかす妖魔、魔物の総称を意味する「魔魅」の字があてられることもある。
と書かれている。

東京都麻布狸穴町(まみあなちょう)の地名由来はいろいろ書かれているものがあり、引用してみたい。
(由来1) 坂の下に狸やアナグマなどの住む穴があった。マミ=アナグマまたはタヌキ
(由来2) 木立がうっそうとして、いまにも魔魅(まみ・人を惑わす魔物)が出そう。
(由来3) 「ままあな」に由来する。「まま」は「急斜面」で、「あな」は「窪地」を意味する。
(由来4)間府:まぶ(鉱石を取るために掘った横穴、坑道)に由来する
といろいろな説が書かれていたが、やはり(1)の説が強いようです。

<狸の付く地名>
・タヌキ名
秋田県にかほ市象潟町狸森(たぬきもり)
・ムジナ名
山形県上山市狸森(むじなもり)
福島県須賀川市狸森(むじなもり)
茨城県つくばみらい市狸渕(むじなぶち)
群馬県邑楽郡邑楽町狸塚(むじなづか)
・マミ名
茨城県稲敷市狸穴(まみあな)
茨城県つくばみらい市狸穴(まみあな)
東京都港区麻布狸穴町(まみあなちょう)

<貉の付く地名>ムジナ
茨城県ひたちなか市狢谷津(むじなやつ)
埼玉県比企郡川島町上狢(かみむじな) 下狢(しもむじな)
千葉県旭市狢野(むじなの)

<猯の付く地名>マミ
茨城県牛久市東猯穴町(ひがしまみあなちょう)
栃木県宇都宮市満美穴町(まみあなちょう) (参考)

このように「狸」と書いて「タヌキ」「ムジナ」「マミ」と3通りに読まれています。

ただ、「貉=ムジナ」地名については、動物のムジナ(アナグマなど)が地名になったという説はあまりあたっていないようです。
この地名の解釈はどこも山の沢のようなところにつけらえている場合が多く、ムジナ=「むじる、むじりとる」と言った意味で、山肌を削って川が流れているような地形が語源となっていると考えるのが一般的のようです。
石岡にも八郷地区に「貉内」という大字名がありましたが、現在は「龍明」に変更されています。

最後に、実際に最高裁まで争われた「たぬき・むじな事件」を紹介しておきましょう。
事件は、1924年(大正13年)に栃木県鹿沼市で発生した狩猟法違反の事件です。
(事件の経緯)
被告人は1924年2月29日、猟犬を連れ村田銃を携えて狩りに向かい、その日のうちにムジナ2匹を洞窟の中に追い込んで大石をもって洞窟唯一の出入口である洞穴を塞いだが、被告人はさらに奥地に向かうために直ちにムジナを仕留めずに一旦その場を立ち去った。その後3月3日に改めて洞穴を開いて捕らえられていたムジナを猟犬と銃を用いて狩った。
警察はこの行為が3月1日以後にタヌキを捕獲することを禁じた狩猟法に違反するとして被告人を逮捕した。下級審では、「動物学においてタヌキとムジナは同一とされている」こと、「実際の捕獲日を3月1日以後である」と判断したことにより被告人を有罪とした。だが被告人は、自らの住む地域を始めとして昔からタヌキとムジナは別の生物であると考えられてきたこと(つまり狩猟法の規制の対象外であると考えていたこと)、2月29日の段階でムジナを逃げ出せないように確保しているのでこの日が捕獲日にあたると主張して大審院まで争った。
(大審院判決)
タヌキとムジナの動物学的な同一性は認めながらも、その事実は広く国民一般に定着した認識ではなく、逆に、タヌキとムジナを別種の生物とする認識は被告人だけに留まるものではないために「事実の錯誤」として故意責任阻却が妥当であること、またこれをタヌキだとしても、タヌキの占有のために実際の行動を開始した2月29日の段階において被告人による先占が成立しており、同日をもって捕獲日と認定(つまり狩猟法がタヌキを捕獲を認めている期限内の行為と)するのが適切であるとして被告人を無罪とした。(Wikipediaより)

茨城の難読地名 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2018/07/29 06:34
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