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茨城の難読地名(その57)-蜆塚

難読地名57


シリーズ1回目からは ⇒ こちら 

蜆塚 【しいづか】 ひたちなか市

ひたちなか市三反田蜆塚貝塚(みたんだしいづかかいづか)として知られる地名です。
「蜆」=「シジミ」ですから、普通に読めば、「蜆塚=しじみつか、しじみづか」になります。

静岡県浜松市に縄文時代の貝塚として知られる「蜆塚遺跡(しじみつかかいづか)」があり、貝殻の9割以上がヤマトシジミの貝殻で、この蜆塚となったのです。また人骨や獣の骨なども出てきました。

こちらのひたちなか市の蜆塚=しいづか についても、ヤマトシジミの貝殻がたくさん出土しました。
またイノシシ・シカ・クジラ・イヌ・カワウソなどの骨もでてきました。

また最大の特徴としては、縄文後期のハート形土偶が出土したことでしょう。
ハート形と呼ばれるのは、土偶の顔がハート形をしているためで、関東地方から東北にかけて出土しています。
顔がハート形をしているのみではなく、ほぼ女性像で、乳房や産道などが表現されていたり、妊婦を現したりもしています。

この貝塚から出土したこの土偶は10~20cm程の大きさの像で、頭の脇のほうに孔があいていて、ここに紐のようなものを通して吊るしたりしたものと考えられています。かなり貴重なものです。

場所は那珂川の下流の北側で、ひたちなか海浜鉄道湊線の「金上駅」と「中根駅」の辺り一帯です。
少し上流に武田氏館があります。甲斐武田氏の名前の由来との見方が強い場所です。

<蜆=シジミの付く地名>

静岡県浜松市中区蜆塚(しじみづか)
愛知県弥富市西蜆(にししじみ)
愛知県弥富市東蜆(ひがししじみ)

<蛤=ハマグリ>の付く地名
宮城県石巻市蛤浜(はまぐりはま)
愛媛県宇和島市蛤(はまぐり)
佐賀県伊万里市波多津町馬蛤潟(まてがた)
長崎県西海市大島町蛤(はまぐり)

<蠣=カキの付く地名>
三重県桑名市蠣塚新田(かきづかしんでん)
長崎県西海市崎戸町蠣浦郷(かきのうらごう)

<貝の付く地名(茨城県のみ)>
茨城県古河市谷貝(やがい)
茨城県石岡市貝地(かいじ)
茨城県龍ケ崎市貝原塚町(かいはらつかまち)
茨城県取手市貝塚(かいづか)
茨城県筑西市西谷貝(にしやがい)
茨城県桜川市真壁町上谷貝(かみやがい)
茨城県桜川市真壁町下谷貝(しもやがい)
茨城県桜川市真壁町東矢貝(ひがしやがい)
茨城県行方市井貝(いがい)
茨城県結城郡八千代町貝谷(かいや)

全国に「貝」の付く地名はたくさんあります。
ただ、この貝は貝殻の貝ではないと思われる地名がかなり多くみられます。

「小貝川」は「蚕飼川」だと一般には言われていますし、石岡の「貝地(かいじ)」は昔は「廨地」と書かれているそうです。
「廨(かい)」という字は「公廨(くがい)(くげ)」などとして使われますが、役所、官庁などを指す言葉で、辞書によると、「本来は官衙の舎屋の意味であったが、律令制下においては官衙の収蔵物・用度物のことを指すようになり、更に転じて官人(特に国司)の得分(給与)を指すようになった。」とあります。

また桜川市真壁の谷貝地名についても、古代の真壁郡に谷貝郷が存在し、地形も台地と平地が入れ込む谷戸が多い地形です。
貝は崖地を意味しているのかもしれません。


茨城の難読地名 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2018/08/09 06:31
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