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茨城の難読地名(その59)-洞下

難読地名59

シリーズ1回目からは ⇒ こちら 

洞下 【ほらげ】 つくば市(旧筑波町)
洞下町 【どうしたちょう】 ひたちなか市(旧那珂湊市)

「洞」(ほら、どう)は「洞穴(ほらあな)」「洞窟(どうくつ)」の「洞」であるので、どちらも読もうと思えばどちらかになるのでそれほど難しくはない。
しかし、この「洞」という漢字はどのような意味を持つのだろうか?

つくば市の洞下(ほらげ)だが、ここは江戸時代に細川街道(現在のつくば市谷田部と栃木県の茂木町を結ぶ街道)の宿場町「洞下宿」として栄えました。
このため、今も当時の街並みが少し残されています。また古代(縄文・古墳時代)の遺跡(洞下遺跡など)も見つかっている場所です。
細川街道という名前は、つくば市谷田部と栃木県(下野国)茂木の両方を熊本藩の細川氏の一族が領有していたからです。
常陸谷田部藩の初代藩主は、細川忠興の弟の細川興元(おきもと)です。栃木県(下野国)茂木の藩主もつとめています。

では「洞下」という地名はどのようなことからつけられたのか。洞穴や洞窟の下という意味ではないことは確かだ。
「洞」(ほら)という漢字が使われたのが意味があるとすると「洞は両側かだんだん狭まって、奥が行き止まりになるような谷間などに多く見られる地名だという。

このつくば市の洞下は東側に桜川と筑波山、西側に小貝川が徐々に迫って細くなるような場所ではあるが、谷が迫ってくるような場所とは思われない。この地名の初見は、1596年の知行目録に「ほらけ」と書かれたものがあるという。

また茨城弁の辞書なるものには「ほらんけ=空洞」とある。

さて、古代文書に使われていることばは主に古代語で、現在のアイヌ語に残されている言葉が多いが、「洞(ホラ)」というのは、「ヒラク」などと同意語で、邪魔なものがない開けた場所という意味があるという。
さて、どうなんだろう。

一方、ひたちなか市の「洞下町(どうしたちょ)」は比較的新しいようで、昭和13年に湊町が那珂湊町になったときには、那珂湊町字洞下とあり、これが那珂湊市となったときには幸町となり、昭和53年に一部が洞下町になったという。 幸町ではなく昔の名前「洞下」を残したかったものと思うが、昔から「どうした」と読んでいたのかどうかは不明であった。

ホラ=秀ラ で優れた、秀でたなどという意味もあってのかもしれない。
何しろ全国にたくさんの地名がある。

<洞=ホラの付く地名>
青森県十和田市洞内(ほらない)
宮城県気仙沼市本吉町洞沢(ほらさわ)
茨城県つくば市洞下(ほらげ)
新潟県糸魚川市大洞(おおほら)
長野県松本市洞(ほら)
岐阜県岐阜市洞(ほら)
岐阜県岐阜市三田洞(みたほら)
岐阜県高山市朝日町小瀬ケ洞(こせがほら)
岐阜県高山市清見町牧ケ洞(まきがほら)
岐阜県高山市高根町池ケ洞(いけがほら)
岐阜県高山市高根町上ケ洞(かみがほら)
岐阜県関市塔ノ洞(とうのほら)
岐阜県関市洞戸(ほらど)
岐阜県美濃市樋ケ洞(ひがほら)
岐阜県各務原市各務車洞(かかみくるまほら)
岐阜県可児市長洞(ながほら)
岐阜県山県市中洞(なかほら)
岐阜県山県市洞田(ほらだ)
岐阜県飛騨市古川町笹ケ洞(ささがほら)
岐阜県飛騨市宮川町洞(ほら)
岐阜県郡上市大和町洞口(ほらぐち)
岐阜県下呂市金山町菅田桐洞(きりほら)
岐阜県下呂市金山町菅田笹洞(ささほら)
岐阜県下呂市萩原町大ヶ洞(おおかほら)
岐阜県揖斐郡池田町山洞(やまほら)
愛知県名古屋市千種区猫洞通(ねこがほらとおり)
愛知県名古屋市緑区亀が洞(かめがほら)
愛知県岡崎市洞町(ほらちょう)
愛知県豊田市柏ケ洞町(ほらちょう)
愛知県犬山市藪ケ洞(やぶがほら)
愛知県長久手市市が洞(いちがほら)
愛知県長久手市杁ノ洞(いりのほら)
滋賀県長浜市高月町洞戸(ほらど)
京都府京都市右京区北嵯峨洞ノ内町(ほらのうちちょう)
兵庫県三田市洞(ほら)
鳥取県鳥取市洞谷(ほらだに)
高知県高知市洞ケ島町(ほらがじまちょう)
熊本県下益城郡美里町洞岳(ほらおか)

<洞=ドウ、トウの付く地名>
北海道有珠郡壮瞥町仲洞爺(なかとうや)
北海道虻田郡洞爺湖町(とうやこまち)
北海道中川郡豊頃町湧洞(ゆうどう)
新潟県南魚沼市雲洞(うんとう)
茨城県ひたちなか市洞下町(どうしたちょう)
栃木県日光市足尾町通洞(つうどう)
栃木県那須塩原市洞島(どうじま)
愛知県豊田市有洞町(うとうちょう)
滋賀県高島市朽木雲洞谷(くつきとうだに)
京都府京都市左京区新東洞院町(しんひがしどういんちょう)
京都府京都市中京区姉西洞院町(あねにしのとういんちょう)
京都府京都市中京区押西洞院町(おしにしのとういんちょう)
京都府京都市中京区三坊西洞院町(さんぼうにしのとういんちょう)
京都府京都市中京区二条西洞院町(にじょうにしのとういんちょう)
京都府京都市下京区綾西洞院町(あやにしのとういんちょう)
京都府京都市下京区高辻西洞院町(たかつじにしのとういんちょう)
京都府京都市下京区西洞院町(にしのとういんちょう)
兵庫県相生市若狭野町八洞(はっとう)
奈良県大和郡山市洞泉寺町(とうせんじちょう)
高知県高岡郡檮原町仲洞(なかとう)
福岡県北九州市八幡西区洞北町(どうほくまち)
大分県宇佐市院内町新洞(しんどう)

北海道の洞爺湖の地名由来については、Wikipediaによると、
「「とうや」はアイヌ語の「トヤ(ト・ヤ)」(湖の岸)に由来する。本来は湖の北岸を指す地名であったが、和人によって洞爺と当て字され、湖の名となった。現在では湖の北岸である本来のトヤは、「向洞爺」と呼ばれている。アイヌの人々は洞爺湖のことを「キムント(キム・ウン・ト)」(山の湖)と呼んでいた。地元では「どうや」と呼ばれることもある。 」と書かれている。




茨城の難読地名 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2018/08/11 05:18
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