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誰殿の星やら落る秋の風 No.19

≪三愚集≫No.19 誰殿の星やら落る秋の風 (小林一茶)

七番日記に 「誰(たが)どのゝ星やら落る秋の風」 とある。

秋の風がだれかの死の知らせを運んで来たのでしょうか?

千葉県富津に「織本花嬌(おりもとかきょう)」という女流俳人がおり、一茶はこの花嬌とかなり親しくしていたという。
しかし、織本は花嬌が嫁いだ先の名前で、夫は酒造業と金融業を営む豪商であった。
夫婦で一茶とは俳句で交流があったが、花嬌の夫は1794年に亡くなっている。

「名月や乳房くはえて指さして」などという俳句もある。 どのような俳人であったのか・・・・・ 年齢はわからないが一茶よりはかなり年上ではないかと見られている。この花嬌が文化7年(1810年)4月に死んでしまう。
この歌が詠まれたのはこの文化7年の7月。
一茶が親子ほど年の違う若い娘「菊」と結婚したのは1914年であるので、この4年後となる。

一茶は花嬌の百ヶ日忌(文化7年秋)に富津の花嬌の墓を訪れており、次のような句を残している。

★ 草花やいふもかたるも秋の風
★ 蕣(あさがお)の花もきのふのきのふ哉

三愚集_41P
(夏目漱石 書)

三愚集_42P
(小川芋銭 絵)

小川芋銭の絵は戦いのときに「巨星落つ」とか「主君の戦死」などが風の便りに聞こえてきた時の様子なのか?

★ 誰どのやふる廻水の草の花
★ 秋風に何して暮す島の友
★ 我仏けふもいずくの草枕

三愚集 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2019/05/30 07:42
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