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大根引大根で道を教へけり No.26

≪三愚集≫No.26 大根引大根で道を教へけり(小林一茶)

七番日記に 「大根引(だいこひき)大根で道を教へけり」 とある

この句の意味は 畑で大根を採っている人に道をたずねたら、引き抜いて手にしていた大根で行く方向を指し示して道を教えた、という句である。

まあそれだけの句で、その情景はすぐに浮かんでくるが、小川芋銭の書いた絵は

 二股大根を手にして振り回している武将のような姿

の絵である。

芋銭はこの句から何を想像したのだろうか。
「大根役者」などという言葉を思い描いたのだろうか。

三愚集_55P
(夏目漱石 書)

三愚集_56P
(小川芋銭 絵)

この武士の姿は、その姿から歌舞伎の隈取りをした役者の姿という。
でもいわゆる大根役者ではない。

歌舞伎に歌舞伎十八番の代表作として有名な「矢の根」という演目がある。
蘇我兄弟の仇討を描いたものだが、弟の曽我五郎が父の仇(工藤祐経)を討つために正月でも矢の根(ひじり)を研ぐというものだ。

この中に有名なシーンとして大根が出てくる。

ある日、五郎の夢に兄の十郎が現れ、「祐経に捕らえられた、助けてくれ」とさけぶのである。
五郎は驚いて飛び起きると、そこにたまたま大根を売りに来た馬子から、馬をむりやり奪って乗り、そして大根を鞭にして馬を急がせ、兄のもとへと向かう 

というシーンを思い浮かべたものらしい。

まあ、三愚集は一茶の27の句に書を夏目漱石にたのみ、絵を小川芋銭に書いてもらったものだが、それぞれに句の内容を調べて想像しながら書いたようだ。

かなり奥が深いともいえる。

残るはあと1句。




三愚集 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2019/06/06 06:52
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