日本語と縄文語(8) かっぱ(河童)
さて、今回は伝説の生き物「カッパ 河童」についてです。
各地の川や沼に棲む頭にお皿のあるカッパですが、最近は結構かわいらしい姿で描かれることが多いのですが、結構昔は怪物、妖怪と言った姿で描かれることも多くあったようです。
現在このカッパの語源については、古語辞典などに記載されており、
「河(かは)に棲む 童(わらは)」 で 【かはわらは:kahawaraha】が 【かわわっぱ】となり【kappa かっぱ】となった。
というように記載されています。
まあ、カッパを漢字で「河童」と書くことそのままですね。
でも「かはわらは」との言葉は言いにくいですね。 この伝説の妖怪に付けた呼び名としては少し変な気もします。

(銚子 大内かっぱハウスより)
そこで、アイヌ語から推察してみます。
アイヌ語で【カワウソ】のことを地方によっていくつか呼び名があるようですが、【sapa-kapke-kur サパカプケクル】(sapa(頭)kapke(はげている)kur(神))と いうのがあります。これは少し馬鹿にしたときなどにも呼ぶようです。
【ka 上+pもの = kap 皮】であり、 日本語の皮(kaha)もこのアイヌ語から来ていると思われます。
また白樺(しらかば)の「樺(kaba)」もやはり「皮」を意味すると思われます。
地方によっては桜の木の皮を「カンバ」と呼ぶ地域があります。
いっぽうカッパは【kap 皮 + pa 頭】 で【kappa カッパ】となり、「カッパ頭」であり、上に書いた「カワウソ」と同じ意味になる。
昔、薄暗い時刻に川や沼で水面からツルツル頭のカワウソが頭をだし、またもぐったりしているのを見たことから伝説の「河童」が生まれたとしても何も不思議ではない。
対馬ではカワウソのことを「ガッパ」と呼ぶ。また岩手、宮城、茨城稲敷、新潟頚城、長野安曇ではハゲ頭を「ハンバ」という。
古語辞典には「かぶろ(禿)はカミ(髪)が ウロ(疎) であること」で 「カムロが転訛した」となっていますが、禿げ(ハゲ)の髪はまばらではなくツルツル状態ではないのか?
【kap 皮】+【ru 頭髪】 で髪がなく皮だけの頭ということと考えるとこの「カプロ」も説明が付くという。
ここではこんな考えもあるということ・・・・・・くらいに考えておきましょう。
実はカッパは昔話にはとても多く登場します。
また、呼び名も地方により異なります。
・ 九州では【セコ】とか【ヒョウスベ】、熊本では【ガワッパ】
・ 土佐(高知)では【エンコ】
・ 近畿・中部地方では【ガタロ】
・ 北陸では【ガメ】
・ 北東北では【メドチ】
など
アイヌ語にもいろいろな呼び名がありますが、ごく一般的な呼び名は【mintuci ミントゥチ】といいます。
北東北の「メドチ」と語源は共通のようです。
アイヌ語には他に「シリサマイヌ(山側の人)」とか「オソイネプ(他から来たもの)」という言葉もありますが、この【mintuci ミントゥチ】は意味を解することができないため、日本語のミヅチ、メドチなどからの借用語ではないかなどとも言われています。
また良く使われる神話などに登場する「みずち(古訓 みつち) 蛟」は竜や蛇の類に近い水に関する伝説上の水神と考えられています。
この蛟(みずち)は日本書紀にも登場します。(Wikipediaより抜粋します)
『日本書紀』の巻十一〈仁徳天皇紀〉の67年(西暦379年)
吉備の中つ国の川嶋河(一説に現今岡山県の高梁川の古名)の分岐点の淵に、大虬(ミツチ)が住みつき、毒を吐いて道行く人を毒気で侵したり殺したりしていた。
そこに県守(あがたもり)という名で、笠臣(かさのおみ、笠国造)の祖にあたる男が淵までやってきて、瓠(ヒサゴ)(瓢箪)を三つ浮かべ、大虬にむかって、そのヒサゴを沈めてみせよと挑戦し、もし出来れば撤退するが、出来ねば斬って成敗すると豪語した。
すると魔物は鹿に化けてヒサゴを沈めようとしたがかなわず、男はこれを切り捨てた。
さらに、淵の底の洞穴にひそむその類族を悉く斬りはらったので、淵は鮮血に染まり、以後、そこは「県守淵(あがたもりのふち)」と呼ばれるようになったという』
民俗学としても昔からいろいろ取り上げられています。
南方熊楠は、わが邦でも水辺に住んで人に怖れらるる諸蛇を水の主というほどの意〔こころ〕でミヅチと呼んだらしい(『十二支考・蛇』)としているそうです。
河童もこのあたりから変化して想像され、作り上げられたものかもしれません。
茨城県利根町には、蛟蝄神社(こうもうじんじゃ)(みづちじんじゃ)があります。
私も5~6年前に訪れました。その時の記事は
1 )蛟蝄神社(門の宮) ⇒ こちら
2) 蛟蝄神社(奥の宮) ⇒ こちら
さて、話は変わりますが、簡単にできることを「屁の河童(へのかっぱ)」と言いますが、こちらの語源は
「木っ端の火(こっぱのひ)」が「河童の屁」となり、順番が入れ替わって「屁の河童」となったもののようです。
「木っ端(こっぱ)」は火をつける時などの最初に使う小さな木の端や削りカスのようなもので、火をつけるとすぐに燃えるものから簡単に火が付くことに由来した言葉です。
もう一つキュウリのことを「カッパ」といいますが、こちらは
「河童の好物が「キュウリ」だからとか、河童の総本家ともいう『水天宮』の紋章が河童の頭の形に似ており、これがキュウリの切り口と似ているから」などと言われていますが、どうでしょう。
また、雨具のカッパはポルトガル語の「capa」から来ているようです。
今までの「日本語と縄文語」を1から読みたい人は ⇒ こちらから
各地の川や沼に棲む頭にお皿のあるカッパですが、最近は結構かわいらしい姿で描かれることが多いのですが、結構昔は怪物、妖怪と言った姿で描かれることも多くあったようです。
現在このカッパの語源については、古語辞典などに記載されており、
「河(かは)に棲む 童(わらは)」 で 【かはわらは:kahawaraha】が 【かわわっぱ】となり【kappa かっぱ】となった。
というように記載されています。
まあ、カッパを漢字で「河童」と書くことそのままですね。
でも「かはわらは」との言葉は言いにくいですね。 この伝説の妖怪に付けた呼び名としては少し変な気もします。

(銚子 大内かっぱハウスより)
そこで、アイヌ語から推察してみます。
アイヌ語で【カワウソ】のことを地方によっていくつか呼び名があるようですが、【sapa-kapke-kur サパカプケクル】(sapa(頭)kapke(はげている)kur(神))と いうのがあります。これは少し馬鹿にしたときなどにも呼ぶようです。
【ka 上+pもの = kap 皮】であり、 日本語の皮(kaha)もこのアイヌ語から来ていると思われます。
また白樺(しらかば)の「樺(kaba)」もやはり「皮」を意味すると思われます。
地方によっては桜の木の皮を「カンバ」と呼ぶ地域があります。
いっぽうカッパは【kap 皮 + pa 頭】 で【kappa カッパ】となり、「カッパ頭」であり、上に書いた「カワウソ」と同じ意味になる。
昔、薄暗い時刻に川や沼で水面からツルツル頭のカワウソが頭をだし、またもぐったりしているのを見たことから伝説の「河童」が生まれたとしても何も不思議ではない。
対馬ではカワウソのことを「ガッパ」と呼ぶ。また岩手、宮城、茨城稲敷、新潟頚城、長野安曇ではハゲ頭を「ハンバ」という。
古語辞典には「かぶろ(禿)はカミ(髪)が ウロ(疎) であること」で 「カムロが転訛した」となっていますが、禿げ(ハゲ)の髪はまばらではなくツルツル状態ではないのか?
【kap 皮】+【ru 頭髪】 で髪がなく皮だけの頭ということと考えるとこの「カプロ」も説明が付くという。
ここではこんな考えもあるということ・・・・・・くらいに考えておきましょう。
実はカッパは昔話にはとても多く登場します。
また、呼び名も地方により異なります。
・ 九州では【セコ】とか【ヒョウスベ】、熊本では【ガワッパ】
・ 土佐(高知)では【エンコ】
・ 近畿・中部地方では【ガタロ】
・ 北陸では【ガメ】
・ 北東北では【メドチ】
など
アイヌ語にもいろいろな呼び名がありますが、ごく一般的な呼び名は【mintuci ミントゥチ】といいます。
北東北の「メドチ」と語源は共通のようです。
アイヌ語には他に「シリサマイヌ(山側の人)」とか「オソイネプ(他から来たもの)」という言葉もありますが、この【mintuci ミントゥチ】は意味を解することができないため、日本語のミヅチ、メドチなどからの借用語ではないかなどとも言われています。
また良く使われる神話などに登場する「みずち(古訓 みつち) 蛟」は竜や蛇の類に近い水に関する伝説上の水神と考えられています。
この蛟(みずち)は日本書紀にも登場します。(Wikipediaより抜粋します)
『日本書紀』の巻十一〈仁徳天皇紀〉の67年(西暦379年)
吉備の中つ国の川嶋河(一説に現今岡山県の高梁川の古名)の分岐点の淵に、大虬(ミツチ)が住みつき、毒を吐いて道行く人を毒気で侵したり殺したりしていた。
そこに県守(あがたもり)という名で、笠臣(かさのおみ、笠国造)の祖にあたる男が淵までやってきて、瓠(ヒサゴ)(瓢箪)を三つ浮かべ、大虬にむかって、そのヒサゴを沈めてみせよと挑戦し、もし出来れば撤退するが、出来ねば斬って成敗すると豪語した。
すると魔物は鹿に化けてヒサゴを沈めようとしたがかなわず、男はこれを切り捨てた。
さらに、淵の底の洞穴にひそむその類族を悉く斬りはらったので、淵は鮮血に染まり、以後、そこは「県守淵(あがたもりのふち)」と呼ばれるようになったという』
民俗学としても昔からいろいろ取り上げられています。
南方熊楠は、わが邦でも水辺に住んで人に怖れらるる諸蛇を水の主というほどの意〔こころ〕でミヅチと呼んだらしい(『十二支考・蛇』)としているそうです。
河童もこのあたりから変化して想像され、作り上げられたものかもしれません。
茨城県利根町には、蛟蝄神社(こうもうじんじゃ)(みづちじんじゃ)があります。
私も5~6年前に訪れました。その時の記事は
1 )蛟蝄神社(門の宮) ⇒ こちら
2) 蛟蝄神社(奥の宮) ⇒ こちら
さて、話は変わりますが、簡単にできることを「屁の河童(へのかっぱ)」と言いますが、こちらの語源は
「木っ端の火(こっぱのひ)」が「河童の屁」となり、順番が入れ替わって「屁の河童」となったもののようです。
「木っ端(こっぱ)」は火をつける時などの最初に使う小さな木の端や削りカスのようなもので、火をつけるとすぐに燃えるものから簡単に火が付くことに由来した言葉です。
もう一つキュウリのことを「カッパ」といいますが、こちらは
「河童の好物が「キュウリ」だからとか、河童の総本家ともいう『水天宮』の紋章が河童の頭の形に似ており、これがキュウリの切り口と似ているから」などと言われていますが、どうでしょう。
また、雨具のカッパはポルトガル語の「capa」から来ているようです。
今までの「日本語と縄文語」を1から読みたい人は ⇒ こちらから
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