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日本語と縄文語(11) 鮎(アユ)

鮎(あゆ)と言う魚はかなり古くから食べられていたようです。

しかし漢字の「鮎」は中国では「なまず」のことだといいます。

日本でも漢字に現すと実にさまざまな字が使われています。

アユ : 
 鮎 ・中国語ではナマズ(粘りつく魚)の事。日本でアユの字に使われ始めた。
    ・日本では、神功皇后が筑紫・玉島の里の小河にて、アユを釣って、征韓の戦いの占いをした事(古事記記載)に由来し、鮎の字を使い始めた。
    (初めて使われたのが確認できるのは835年の類聚三代格という書物に地名として「鮎河」がある。)
 香魚 ・シャンユー 中国語でアユのこと、キュウリのような香りがする。
 年魚 ・一年魚のため。古事記(712年)にも日本書紀にもこの漢字が使われている。
 阿喩 ・日本書紀(720年)
 阿由 ・正倉院文書(721年)
 国栖魚 ・奈良県吉野山では国栖(くず)人がアユを天皇に献上した事に由来。(下記の能の演目「国栖」参照)
 細鱗魚 ・古事記に記載の神功皇后がアユを釣って占いをしたときにはこの鱗が細かい魚との表現が使われている。
 その他、王魚、安由、黄頬魚、銀口魚、氷魚、渓鰮魚 などさまざまな漢字がある。

ayu.jpg


そして言い方には「アユ」以外にいろいろな地方の呼び名があります。
関東地方・・・アイ
九州・・・アイのイオ
他にアイノユ、アイノヨ、アイノウオ、アイノイボ、アイナゴ、アイオ、エノヲ、エアノユ、エヤー、などとも呼ぶことから、この言葉の語源はアイヌ語でいう【ay アイ 矢】ではないかというのがほぼ定説になっています。
その他、各種辞書などにはいろいろな語源説が書かれてもいますが・・・・

【ay アイ】 ⇒ これは矢のことであり、トゲやイラクサなどにも使います。 ay ⇒ ya なんて文字をひっくり返しただけなので、いまの日本語の矢もこのアイヌ語由来なのでしょう。
しかし、かなり古くから使われているので、アイヌ語というよりは「縄文語」と言っていいでしょう。

アユという魚は矢のようにすばやく泳ぎまわるのでそのように呼ばれたものと思われます

「古事記」(712年)ではすでにアユ(年魚)と呼ばれていた様で、古くから鮎は天皇への献上品として使われていました。
今でも各地で皇居への「(天然)献上鮎」としている地域がいくつかあります。

また、能楽の演目に「国栖(くず)」と言うものがあります。(奈良県吉野山)

あらすじを能楽辞典より転載します。
「壬申の乱で大友皇子の襲撃を逃れて、天武天皇は供の者と奈良の吉野山へと分け入った。
そこで、川舟に乗る老夫婦と出会う。
夫婦は天皇を匿い、根芹と国栖魚(鮎)を献上します。
老人が天皇の食べ残した魚を川に放つと、不思議にも魚は生き返りました。
そこへ敵が迫りますが、夫婦は天皇を舟の下に隠し、敵を欺き追い返します。
夜になると天女が現れ舞を舞い、蔵王権現も出現して、御代の将来を祝福したのでした。」

さて、この国栖(くず)というのは大和民族が日本列島に進出してきたときに、昔からいた(土着していた)民族の呼び名です。
この能の演目は、実際にあった話から始まっていると思われます。
山の中で暮らしていた国栖(くず)が実際に朝廷にアユを献上していた? 
そのために、奈良県吉野ではアユのことを国栖魚と呼んでいるといいます。

また、日本書紀には
『 289年応神天皇が吉野に行幸されたとき、国栖人は酒を献上し、 歌舞を奏して歓迎した。
 その地は京より東南で、山を隔てて吉野川のほとりにある。
 峰は高く谷深く道は険しい。
人々は純朴で日頃は木の実を採って食べ、また、蛙を煮て上等の食物としている 』
とあり、
この 天皇に奉納された歌舞は、手で口を打って音を出しながら歌の拍子をとり
上を向いて笑う独特の舞いで、のちに「国栖奏」(くずそう)とよばれたといいます。


その他、関連する縄文ごと思われる言葉を幾つか紹介します。

アワビ : 【ay トゲ】+【pe あるもの】=【aype アワビ】
エビ : 【aype ⇒ aibe ehi エヒ】 
  平安時代に辞書である「和名抄」で、エビ(鰕)、エイ(鱏)はともに「衣比(エヒ)」
アヤメ :aype の p が m に変化して ayame アヤメ・・・葉の先が尖っているため
  和名抄ではおしべ・めしべがちょっとでるだけで花弁のない菖蒲をアヤメ、アヤメグサ(阿夜女久佐)と言った。



各地でトゲのある植物や虫などに「イラ」とつくものが多い。
イラ : 鹿児島でトゲ、大分・種子島でウロコ、静岡・志摩・壱岐・鹿児島でクラゲ、その他各地で毛虫、ダニなど
エラ : 魚の鰓(えら)
イガ : 栗のとげ
など
イライラ、チクチクなどもこのような言葉から派生した言葉と見る事ができる。

アイヌ語で【iri チクッとする】、【iriri チクチクする】であり、この頭の「i」は「われらを」という意味となる。

今までの「日本語と縄文語」を1から読みたい人は ⇒ こちらから


日本語と縄文語 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2020/05/12 13:46
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