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千葉の難読地名(3) 黒生

黒生 (銚子市)

地名は 黒生町(くろはいちょう)
海岸は黒生海岸(くろはえかいがん)
駅名:笠上黒生(かさがみくろはえ)

銚子電鉄の駅「笠上黒生」は笠上(かさがみ)町にあるが、その海寄り地域が黒生(くろはい)町であるので、両方の名前を合わせた。

千葉難読地名3

黒生町は、もとは飯沼村の一部であったが、海岸部は昔から黒生(くろはえ)海岸と呼ばれていた。
そして、昭和9年(1934)に銚子市の地域町名となった。
町名の読み方は「くろはい」であり、海岸などで呼ばれていた「くろはえ」と、「い」と「え」が食い違っているが、元々関東地方北部から東北地方および新潟などでは「い」と「え」の発音区別がなく、中間的な「え」であるので、どちらでもあまり区別は出来ないためだろう。特に海寄り地域ではこの傾向は強いようだ。

銚子電鉄の笠上黒生(かさがみくろはえ)駅は、 企業にネーミングライツ権を譲渡し、スカルプで知られた企業に譲渡され、2015年12月~2018年までに「髪毛黒生駅(かみのけくろはええき)」となった。

場所は銚子市の東端の海岸沿線エリアで、その南側に「海鹿島(あしかじま)」がある。
観光地や避暑地として知られた海鹿島は昭和半ばまではアシカが生息していた。

この海岸近くには「一山いけす」という魚料理屋さんがあり、地元の人には良く知られた場所だ。
ここから君ヶ浜へ続く海岸沿いは岩がゴロゴロして、白波が打ち付ける豪快な海岸が魅力でもある。

この海岸沖は昔から船の遭難が多い場所で、この一山いけすの店の近くにこの銚子黒生海岸沖で遭難した美加保丸の碑が立っている。

この碑には、「慶応4年(1868年)8月に、戌辰戦争の過程で幕府の海軍の副総裁・榎本武揚の指揮のもとに北海道へ逃亡を企てた幕府軍艦8隻は銚子沖で暴風雨に遭い、その中で美加保丸が黒生海岸で沈没しました。死者は13人に上り漂着の場に葬られました。その後、明治15年(1882年)に、美加保丸の遭難碑が地元民の手で建立されました。目の前には太平洋の素晴らしい景色が広がります。」と書かれています。

黒生海岸

この「黒生(くろはい、くろはえ)」地名の由来を探ってみたのですが、あまりはっきりしたことは何処にも書かれていません。
また全国に「黒」がつく地名は実に沢山存在し、その多くが「黒色」に関係するかどうかも良くわかりません。

ただ、この銚子の地はジオパークに登録され、ここ黒生から長崎鼻にかけて、1億3000万年前から1億年前の恐竜時代の地層が見る事ができるのです。
特にこの黒生(くろはえ)漁港付近の地層は古く、ジュラ期の非常に硬い岩石(チャート)があり、黒生チャートと呼ばれる小さな露頭が地表に出てきています。細長い崖として続いていた薄緑色のチャートは漁港施設工事で失われてしまいました。

また、江戸時代末期に、福井県から移住した柳屋がここ黒生から産出する黒色の粘土を利用し、「黒生瓦」作りを始め、これが評判で、当時は三州瓦に匹敵するとの評判でした。
しかし、現在はセメント瓦に取って代わられ、生産はされていませんが、市内にはこの黒生瓦を葺いた住宅が残っています。

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(外川地区の黒生瓦の住宅)

このように特殊な地層の岩石が風化して独特の黒色粘土が産出した地域であるため、黒色粘土が採れる地という意味から「黒生」となったというのが最も考えられると思われます。

元々「埴生」「丹生」など、粘土や特殊の色の鉱石が取れる地区につけられた「生」という字は各地に沢山存在します。
この地も昔からつやのある「黒岩」が多数存在し、「黒生浦」と呼ばれていました。

ただ、この地には、海岸沿いの高台に「黒生大神宮」という神社があります。
これは、紀州(和歌山)の北川治郎右衛門が、江戸時代中期の宝永年間(1704年~11年)に、この地に移り住み、ここ黒生漁港を開発したといわれており、その際、伊勢皇大神宮(内宮)より祭神は、天照坐皇大御神(天照大御神)を勧請(かんじょう)して祀ったとされています。この伊勢や和歌山との関係が別にある可能性も有ります。

「生」という地名で「ハイ」または「ハエ」と読む地名を探してみた。
(ハイとよむ地名)
千葉県銚子市黒生町(くろはいちょう)
愛知県江南市宮田町生原(はいばら)
愛知県稲沢市生出(はいで)
(ハエとよむ地名)
石川県輪島市門前町大生(おはえ)
愛知県名古屋市緑区有松町桶狭間(生山) (はえやま)
愛知県半田市生見町(はえみちょう)
熊本県上益城郡御船町七滝(松ノ生)(まつのはえ)


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千葉の難読地名 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2020/06/06 17:15
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