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千葉の難読地名(23) 岡発戸、下ケ戸 (我孫子市)

≪岡発戸  おかほっと≫ 我孫子
≪下ケ戸  さげと≫ 我孫子


千葉難読地名23


この2つの地名は、我孫子市の手賀沼北側に隣接している。
名前の由来は、ここに相馬御厨黒崎郷発戸(ふんと)村があったことによるという。
現在は手賀沼近くに後から新田開発をした「岡発戸新田」がある。
この発戸(ほっと)という地名は 埼玉県羽生市発戸(ほっと)にもあり、地形語と見られている。

古い言葉で女性器(陰部)をホトとかホドというが、これが地形として近い場所に日本全国たくさん似た名前がついている。
谷の奥まった入口部や、侵食によりくぼみが出来た土地、湿った土地や、陰になる場所などに多く見られる。

我孫子市の岡発戸(おかほっと)は少し高くなった場所で侵食などで削られた谷がある地形か?
また下ケ戸(さげと)はそこから下がった場所で部落への入口の名前か?

全国の<ホト><ホド>地名を探してみました。

青森県平川市碇ケ関古懸上程森 かみほどもり
青森県上北郡東北町保戸沢 ほどさわ
青森県三戸郡五戸町上保土沢 ほとざわ
岩手県八幡平市保戸坂 ほとざか
宮城県大崎市岩出山保土沢 ほどさわ
宮城県刈田郡七ヶ宿町程ヶ沢 ほどがさわ
宮城県伊具郡丸森町天炉 ほど
秋田県秋田市保戸野         ほどの
福島県須賀川市保土原 ほどわら
福島県相馬市程田         ほどた
福島県耶麻郡猪苗代町程塚 ほどづか
栃木県真岡市程島         ほどしま
群馬県高崎市保渡田町 ほどたまち
東京都日野市程久保         ほどくぼ
神奈川県横浜市保土ケ谷 ほどがや
新潟県新潟市秋葉区程島 ほどじま
新潟県十日町市程島         ほとじま
静岡県御殿場市保土沢 ほとざわ
滋賀県犬上郡多賀町仏ケ後 ほとけら
京都府船井郡京丹波町仏主 ほどす
島根県浜田市弥栄町程原 ほどはら
大分県津久見市保戸島 ほとじま

などたくさん見つかります。

これら全てがホト、ホドを示す地形が地名語源かどうかはわかりませんが、多くはおそらくそんな意味だったのでしょう。
こんなものが地名になるのですから昔はどの位おおらかだったのでしょうか。

柳田國男も「地名の研究」で次のように書いています。

 「昔の人の感情は驚くべく粗大であった。 羞恥と言う言葉の定義が輸入道徳によって変更せられたまでは、男女ともにおのおのその隠し所の名を高い声で呼んでいたらしい。
しこうしてその痕跡を留めている地名のごときは、よほど起原の古いものと見てよろしいのである。
これも海岸において往々遭遇するフトまたはフットと言う地名は、疑いもなくホドすなわち陰部と同じ語である。

日向(ひゅうが)南那珂郡鵜戸村大字富土(ふと)
尾張知多郡河和(こうわ)町大字布土(ふと)
伊豆田方郡対島(たじま)村大字富戸(ふと)

 以上三箇のフトは地形が最も顕著に相類似している。砲台のある上総(かずさ)の富津(ふつ)、『延喜式神名帳』及び『三代実録』天安二年十月の条に見えている伊予越智(おち)郡の布都(ふつ)神社の布都などもおそらくは右のフトであろう。
すなわち海岸に沿うて漕こぎ廻る船から見れば、二つの丘陵の尾崎が併行して海に突き出している所あたかも二俣大根などのごとく、その二丘陵の間からは必ず小川が流れ込み、川口の平地には普通の漁村に比すればやや繁華な邑落があって、川上へまたは山越に少々の商業運送を経営していると言う、航海者には見遁みのがすべからざる主要な地点であるゆえに、特に地名が生じたのである。発戸(ふっと)・風戸(ふっと)・払戸(ふっと)と言う多くの地名は、例の関東の促音で皆このフトであると信ずる。
しかのみならず下総・常陸辺に多くある古戸・古渡なども、多くはフルトとは言わずにフットと発音しているのを見ると、同じく右のホドであるかも知れぬ。
よくも無遠慮にかくのごとくたくさんの地名を附けたものと怪しむ人もあろうが、そこが上代人の悠長なところである。本来ホドは秀処ほどの義であって、身体中最も注意すべき部分と言うのである。
これを見ても昔の人がこの名を附けるのに、決して首をすくめたり高笑いをしたりするような冗談半分でなかったことが想像せられる。現に荘厳なる記紀の神代物語にもしばしばミホトの記事があり、『出雲風土記』にも、

神門(かんど)郡陰山(ほとやま) 大神の御陰(みほと)なり

とある。陰は男女に通じ用いられた語で、今ならば股倉(またぐら)と言うくらいの意味であろう。
すなわち二つの尾根のある山である。
 フトと言う地名はフクラと同様に、また山中に多く存している。山中ではフドノと言う地名が目に着く、すなわちホド野であって、両山の間の低地で耕作民居に適する場所の義である。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

また、アイヌ語でも女性気器(女陰)は【ho ほー】という。
沖縄には女陰坂(ホーミビラ)などの坂名もあったが、現在は武見坂に変更になった。

また「下ケ戸(さげと)」地名は
  京都府福知山市下戸 さげと
がありました。
ただこれも一般には「げこ」と読みそうですが、「さげと」と読むのには何か共通の意味があるのかもしれません。



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千葉の難読地名 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2020/06/23 07:52
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