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千葉の難読地名(52) 飯櫃 飯積 櫃挾

≪飯櫃  いびつ≫ (山武郡)芝山町
≪飯積  いいずみ≫ (印旛郡)酒々井町
≪櫃挾  ひつば≫ 市原市


千葉難読地名52


先日 シリーズNo49  の「文違(ひじかい)」地名由来に登場した「飯櫃(いびつ)」と「飯積(いいずみ)」の2つの地名を取り上げてみた。
「文違(ひじかい)」を文字から解釈して、この2つの地名を間違えて、ここでそれに気がついたという奇妙な地名伝説だが、たとえ取り違えたとしてもそれがこの地名になったという根拠はとても薄い。

ただ2つの地名の漢字が良く似ている。

≪飯櫃  いびつ≫ (山武郡)芝山町

栗山川の支流高谷川上流域に位置する。
戦国時代の永禄10年(1567)の虚空蔵菩薩像の胎内墨書銘に「飯櫃住人」の記載がある。
井田氏の家臣山室氏が天文元年(1532)から三代にわたって在城していたという「飯櫃城」の跡がある。

一般に、飯櫃は「めしびつ」と読み、炊き上がった飯を釜から移し入れて置く為の櫃で、「おひつ」などと呼ばれるものを言います。
この「飯櫃(めしびつ)=おひつ」は、かなり前から使われており、平安時代にはすでに使われていたとされています。
お米をかまどで炊いて、それを保温して長くふっくらしたご飯が食べられていたのです。
ですから、この地名漢字「飯櫃」もその頃からあったのでしょう。

飯櫃(めしびつ)は古くは楕円形だったようで、読み方も「いいびつ」とか「いびつ」とも言われてきたようです。
また、円形に比べて歪んでいるということで 歪んでいる事を「いびつ」というようになったという事のようです。
(語源辞典)

そうすると、地名由来もなにかこの飯櫃(楕円形)形状に似た地形という事も考えられますが・・・・
ネットを検索すると、「うえ(上)・ひつ(棺)」の転訛で地辷りのあった高所などという説明もありました。

≪飯積  いいずみ≫ (印旛郡)酒々井町

鹿島川支流高崎川左岸の丘陵地に位置する。
地名は、現在も湧き出ている泉が中心部に存在し、この「泉 いずみ」が転訛して「いいずみ」になったという。
郵便住所登録地名は「いいずみ」であるが、地名辞典では「いいづみ」となっている。
これも「いずみ」から転訛したとすれば「いいずみ」でよいことになる。

江戸初期の元禄郷帳には「泉村」との記載もある。

まあ、奈良時代に地名を2文字にするように言われて、「泉」は「和泉」と書くようになったこともあるため、
 「泉」 ⇒ 「和泉」 ⇒ 「いいずみ」 ⇒ 「飯積」
と転訛したのだろう。

≪櫃挾  ひつば≫ 市原市

養老川中流域右岸東方に連なる丘陵部に位置する。
文禄3年(1594)の検地村高帳に「櫃挾村」とある。石高97石。
寛政5年(1793)の村高帳には「桶挾(ヒツハ)村」とある。ただこれは誤記かもしれない。

名前の由来は、昔は「櫃狭間(ひつはざま)」であったともいわれており、「ひつ」+「狭間:狭い谷」となる。
「ひつ」については、アイヌ語(縄文語)の 【hutne  狭い】か?


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千葉の難読地名 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2020/07/10 08:05
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