千葉の難読地名(77) 華表裏 雪降里 (FINAL)
≪華表裏 とりいがわ≫
≪雪降里 ぶどうじ≫

今回で千葉の難読地名シリーズは終了です。
全77回で約1ヶ月半ほどかかりました。
まだまだ不満足な内容ですが全容が見えてきました。
これから少し時間をかけてブラシアップしていきたいと思います。
最後に取り上げるのは難読地名リストによく出てくる地名ですが、今の住所表記にはありません。
小字名一覧表には出てくるようです。
ただ、読み方が変わっているので載せておくことにします。
≪華表裏 とりいがわ≫ 南房総市
現在の住所は、南房総市荒川1290付近で、「荒川華表裏(とりいがわ)集会所」がある。
国土地理院の地図には載っている。フリガナも「とりいかわ」ではなく、「とりいがわ」となっている。
何故<とりいがわ>などという地名が付いたのか? またなぜこの漢字があてられたのか?
ネットで検索しても地名由来にかかわるものはどこにも出てこない。
仕方がないので、こちらで勝手に推論してみよう。
大阪府堺市に「華表神社(かひょうじんじゃ)」という名前の神社がある。
そこで、まず「華表=かひょう」という言葉に注目してみよう。
辞書で引くと
華表(かひょう)とは、「中国で、宮殿・廟宇・陵墓の前に立てられる石柱」のことと言うとあります。
確かに中国の宮殿などの前に大きな石の柱が立っており、そこにとぐろを巻いた龍、動物などの彫刻や上の方に左右に突き出した羽根のような突起物が漬けられたりしているものです。
いわゆる結界のシンボルでしょうから、日本の神社の鳥居などと性格は一致しています。
これを日本では、【華表(かひょう)=鳥居(とりい)】 と考えられていた時期があるようです。
そこで「華表」を「とりい」と訳したり、読んだりしていたこともあったようです。 また「花表」と書く場合もあるといいます。
南房総市荒川 の 「華表裏」(とりいがわ) を地図で探してみると、近くの川沿い近くに「山神社(さんじんじゃ)」があり、また国土地理院地図にはもう一つ東の山側に神社マークがあった。
2つの神社に挟まれた地域のようだ。
おそらくこの神社の鳥居がこの地区にあったものと考えられ、鳥居の裏側(うらっかわ)指す地名だったのではないだろうか。
「鳥居裏側=とりいうらっがわ」 ⇒ 「とりいがわ」 なんだか謎解きのようです。
<華表 の付く地名>
京都府京都市右京区嵯峨清滝一華表町 きよたきいっかひょうちょう
京都府京都市右京区嵯峨鳥居本一華表町 とりいもといっかひょうちょう

(国土地理院地図)
≪雪降里 ぶどうじ≫ 旭市
旭市岩井の滝不動としてしられる「龍福寺」の北方、約1.2kmほどのところに小さな集落があり、ここに「雪降里(ぶどうじ)」バス停があります。
現住所では千葉県旭市岩井800番台 あたりです。国土地理院の地図には出てきます。
ただ、このあたりは昔から陸地で、この少し西側に「椿の海」という大きな内海がありました。
この椿の海は、江戸時代に干拓され、広大な田んぼとなりました。
この雪降里(ぶどうじ)の近くにやはり雪の付く地名で「石ノ雪車」地名があり、読みが載っていませんが、近くに岩井石雪車(いしゆきくるま)遺跡があります。
【雪降里(ぶどうじ)】の読みについての由来を探ったがよくわからない。
茨城県稲敷市に「月出里」と書いて「すだち」と読む地名があるが、この名前は昔は「月出」だけで「スダチ」と読んだ。
この「月出村」が村から大字名になるときに「里」を付けた。
これと同じことが行われたのかもしれない。
ただこちらの地名は【朏(ひ)=三日月】が分解され【月出】となったのではないかといわれていた。
(宮城県石巻市にも【鹿立=すだち】地名があります。)
では漢字の地名は後から<当てはめた>ものとして、「ブドウ」という発音は何を指すのでしょうか。
<各地のブドウが付く地名>
秋田県にかほ市象潟町武道島 ぶどうじま
新潟県長岡市川口武道窪 ぶどうくぼ
新潟県村上市蒲萄 ぶどう
富山県富山市八尾町武道原 ぶどうはら
(その他小字名で「武道」が付く地名)
・ 岩手県盛岡市玉山区芋田下武道
・ 岩手県奥州市江刺区梁川武道坂
・ 岩手県二戸郡一戸町中里武道平
・ 宮城県登米市米山町善王寺武道ケ崎
・ 秋田県横手市山内平野沢武道
・ 福島県石川郡玉川村川辺武道
この「ブドウ=武道」地名の由来を見ていくと、この中の
【 富山県富山市八尾町武道原】地名は、大玉生(おおだもう)川の右岸に位置し、街道下の低地に広がる村で、かつては雑草が繁茂する密林地帯で、道路の開設が不可能であったので【無道原】と称してきたが、富山藩士某の指導により武道原と改称したという。となっています。
この千葉県旭市の「ブドウジ」地名も「ムドウジ’(無道地)」などと呼ばれていたのかもしれません。
そしてまわりの木々が繁茂する森などを切り開いて、新たに近くの「石雪車」などの名前から「雪」の字を当てはめたと考えてみるのはどうだろうか。

『最後に』
本「千葉県の難読地名」シリーズもひとまず終了します。
2年前に「茨城の難読地名」として68回にわたり書きました。
そして年末に本にまとめました。
今回は、最近よく行く千葉県もまとめてみたいと正月に願を立てたのですが、なかなかスタートができず半年後にやっとスタートし、始めたからには途中で投げ出しかねないので、休みを置かずに駆け抜けました。
千葉県は茨城県と一緒に語られることもあるので、似たようなものだろうと思っていましたが、かなり手こずりました。
何しろ、郵便番号の数も茨城県の1.26倍あります。
また難しい地名も倍くらいありそうでした。
取りかかるのに少し時間がかかってしまいましたが、何とか一通り調べることができました。
結果はやって良かったの一言です。
今まで茨城県側から抱いてきた千葉県の古代からのイメージがかなり変わりました。
1) 九十九里、安房国などの海人族、海上国、市原、市川の地名、頼朝の跡、・・・など茨城にはない新鮮さがありました。
2) 大和朝廷が進出したときに、現地人を捕虜とした土地について付いたであろう地名は茨城にはないものです。
3) 馬の牧、その後からの開発、沼や内海の干拓・・・いろいろに勉強させていただきました。
長いことだらだらとつまらなく思う方も多かったと思いますが、応援いただいた方々にははげまされました。
年末までに、少し補強したり、訂正したりして、カテゴリを整理し、出典等の明記をして本にまとめる予定です。
千葉の地名シリーズ最初から読むには ⇒ こちらから
≪雪降里 ぶどうじ≫

今回で千葉の難読地名シリーズは終了です。
全77回で約1ヶ月半ほどかかりました。
まだまだ不満足な内容ですが全容が見えてきました。
これから少し時間をかけてブラシアップしていきたいと思います。
最後に取り上げるのは難読地名リストによく出てくる地名ですが、今の住所表記にはありません。
小字名一覧表には出てくるようです。
ただ、読み方が変わっているので載せておくことにします。
≪華表裏 とりいがわ≫ 南房総市
現在の住所は、南房総市荒川1290付近で、「荒川華表裏(とりいがわ)集会所」がある。
国土地理院の地図には載っている。フリガナも「とりいかわ」ではなく、「とりいがわ」となっている。
何故<とりいがわ>などという地名が付いたのか? またなぜこの漢字があてられたのか?
ネットで検索しても地名由来にかかわるものはどこにも出てこない。
仕方がないので、こちらで勝手に推論してみよう。
大阪府堺市に「華表神社(かひょうじんじゃ)」という名前の神社がある。
そこで、まず「華表=かひょう」という言葉に注目してみよう。
辞書で引くと
華表(かひょう)とは、「中国で、宮殿・廟宇・陵墓の前に立てられる石柱」のことと言うとあります。
確かに中国の宮殿などの前に大きな石の柱が立っており、そこにとぐろを巻いた龍、動物などの彫刻や上の方に左右に突き出した羽根のような突起物が漬けられたりしているものです。
いわゆる結界のシンボルでしょうから、日本の神社の鳥居などと性格は一致しています。
これを日本では、【華表(かひょう)=鳥居(とりい)】 と考えられていた時期があるようです。
そこで「華表」を「とりい」と訳したり、読んだりしていたこともあったようです。 また「花表」と書く場合もあるといいます。
南房総市荒川 の 「華表裏」(とりいがわ) を地図で探してみると、近くの川沿い近くに「山神社(さんじんじゃ)」があり、また国土地理院地図にはもう一つ東の山側に神社マークがあった。
2つの神社に挟まれた地域のようだ。
おそらくこの神社の鳥居がこの地区にあったものと考えられ、鳥居の裏側(うらっかわ)指す地名だったのではないだろうか。
「鳥居裏側=とりいうらっがわ」 ⇒ 「とりいがわ」 なんだか謎解きのようです。
<華表 の付く地名>
京都府京都市右京区嵯峨清滝一華表町 きよたきいっかひょうちょう
京都府京都市右京区嵯峨鳥居本一華表町 とりいもといっかひょうちょう

(国土地理院地図)
≪雪降里 ぶどうじ≫ 旭市
旭市岩井の滝不動としてしられる「龍福寺」の北方、約1.2kmほどのところに小さな集落があり、ここに「雪降里(ぶどうじ)」バス停があります。
現住所では千葉県旭市岩井800番台 あたりです。国土地理院の地図には出てきます。
ただ、このあたりは昔から陸地で、この少し西側に「椿の海」という大きな内海がありました。
この椿の海は、江戸時代に干拓され、広大な田んぼとなりました。
この雪降里(ぶどうじ)の近くにやはり雪の付く地名で「石ノ雪車」地名があり、読みが載っていませんが、近くに岩井石雪車(いしゆきくるま)遺跡があります。
【雪降里(ぶどうじ)】の読みについての由来を探ったがよくわからない。
茨城県稲敷市に「月出里」と書いて「すだち」と読む地名があるが、この名前は昔は「月出」だけで「スダチ」と読んだ。
この「月出村」が村から大字名になるときに「里」を付けた。
これと同じことが行われたのかもしれない。
ただこちらの地名は【朏(ひ)=三日月】が分解され【月出】となったのではないかといわれていた。
(宮城県石巻市にも【鹿立=すだち】地名があります。)
では漢字の地名は後から<当てはめた>ものとして、「ブドウ」という発音は何を指すのでしょうか。
<各地のブドウが付く地名>
秋田県にかほ市象潟町武道島 ぶどうじま
新潟県長岡市川口武道窪 ぶどうくぼ
新潟県村上市蒲萄 ぶどう
富山県富山市八尾町武道原 ぶどうはら
(その他小字名で「武道」が付く地名)
・ 岩手県盛岡市玉山区芋田下武道
・ 岩手県奥州市江刺区梁川武道坂
・ 岩手県二戸郡一戸町中里武道平
・ 宮城県登米市米山町善王寺武道ケ崎
・ 秋田県横手市山内平野沢武道
・ 福島県石川郡玉川村川辺武道
この「ブドウ=武道」地名の由来を見ていくと、この中の
【 富山県富山市八尾町武道原】地名は、大玉生(おおだもう)川の右岸に位置し、街道下の低地に広がる村で、かつては雑草が繁茂する密林地帯で、道路の開設が不可能であったので【無道原】と称してきたが、富山藩士某の指導により武道原と改称したという。となっています。
この千葉県旭市の「ブドウジ」地名も「ムドウジ’(無道地)」などと呼ばれていたのかもしれません。
そしてまわりの木々が繁茂する森などを切り開いて、新たに近くの「石雪車」などの名前から「雪」の字を当てはめたと考えてみるのはどうだろうか。

『最後に』
本「千葉県の難読地名」シリーズもひとまず終了します。
2年前に「茨城の難読地名」として68回にわたり書きました。
そして年末に本にまとめました。
今回は、最近よく行く千葉県もまとめてみたいと正月に願を立てたのですが、なかなかスタートができず半年後にやっとスタートし、始めたからには途中で投げ出しかねないので、休みを置かずに駆け抜けました。
千葉県は茨城県と一緒に語られることもあるので、似たようなものだろうと思っていましたが、かなり手こずりました。
何しろ、郵便番号の数も茨城県の1.26倍あります。
また難しい地名も倍くらいありそうでした。
取りかかるのに少し時間がかかってしまいましたが、何とか一通り調べることができました。
結果はやって良かったの一言です。
今まで茨城県側から抱いてきた千葉県の古代からのイメージがかなり変わりました。
1) 九十九里、安房国などの海人族、海上国、市原、市川の地名、頼朝の跡、・・・など茨城にはない新鮮さがありました。
2) 大和朝廷が進出したときに、現地人を捕虜とした土地について付いたであろう地名は茨城にはないものです。
3) 馬の牧、その後からの開発、沼や内海の干拓・・・いろいろに勉強させていただきました。
長いことだらだらとつまらなく思う方も多かったと思いますが、応援いただいた方々にははげまされました。
年末までに、少し補強したり、訂正したりして、カテゴリを整理し、出典等の明記をして本にまとめる予定です。
千葉の地名シリーズ最初から読むには ⇒ こちらから
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