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水雲問答(24) 賢臣を任ずる

  これは江戸時代の(長崎)平戸藩の藩主であった松浦静山公が晩年の20年間に毎日書き残した随筆集「甲子夜話(かっしやわ)」に書かれている2人の手紙による問答集を理解しようとする試みです。

雲:白雲山人・板倉綽山(しゃくざん)1785~1820年 上州安中の藩主
水:墨水漁翁・林述斎(じゅっさい):1768~1841年 儒学者で林家(幕府の大学頭)中興の祖
松浦静山・松浦 清 :1760~1841年

水雲問答24

水雲問答(24) 賢臣を任ずる

雲:
 乱に臨むの君は各其臣を賢とすと申すは名言にて、天下の畏るべきことこの上なく候。 賢と存候も姦邪に候。姦邪却って賢人に候。いかにして識鑑仕や。君子善を為し、小人凶を為す、一徹の処に陥り申候。皆君の任ずる所より起き申候。任ぜざる時は、祖の害又甚だしく候。左様に事を案じ候ては、大事は出来申さず候。何れ我器量一杯に識鑑して委任する上は、不慮のことあらば共に斃れ申候心得より外はこれなく、祖上は了見の外に候。

(訳)
 動乱に臨んだ君子はとかくその臣(部下)は賢明な人物と思うといいますが、これは実に恐ろしい事です。賢明な家臣と思っている者が姦邪(悪賢いもの)であったり、姦邪だといわれている者が逆に賢明な人物であることもあります。どのようにこれを見分けたらろしいでしょうか。一般に、君子は善いことを為し、小人は凶(悪い事)を為すと一律に決めてしまうという先入観に陥りがちです。しかし、これも元をただせば、君子が任じた人物から起きるものです。とはいっても任じるのが危ないと思って任じないと、その害が甚だしくなったりします。このように心配していては大事はできません。結局、自分の器量めいっぱいに識鑑(見分け)して、人を任用する以外になく、もしそれで不慮のことが起こればともに斃れるという心得でいるよりほかに方法がありません。それから先は思いつくことではありません。

水:
 賢主は其賢臣を賢とし、暗主は其不賢臣を賢とす。其賢を賢とすれば則ち政茲(ここ)に挙(あが)り、若し夫れ之に反すれば、則ち国従って亡ぶ。危いかな。

(訳)
 賢明な君主は賢明な臣を使い、逆に暗い君主は賢明でない臣を賢明な臣として任用します。本当に賢明な者を用いれば,政(まつりごと)の成績は上がります。しかし、もし賢明でない臣を用いれば国は滅びます。とても危険なことです。

(コメント)
 問いに対する答えとしては不満が残りそうですが、しかし、部下を用いるにはよくよく考えて賢者を任じることで、それも上に立つ(任命する)者の品格が優れていなければならないということになります。
今の政治に当てはめて考えると・・・・・・うなってしまいます。



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水雲問答 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2021/03/21 07:16
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