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水雲問答(26) 百万の甲兵に動ぜず

  これは江戸時代の(長崎)平戸藩の藩主であった松浦静山公が晩年の20年間に毎日書き残した随筆集「甲子夜話(かっしやわ)」に書かれている2人の手紙による問答集を理解しようとする試みです。

雲:白雲山人・板倉綽山(しゃくざん)1785~1820年 上州安中の藩主
水:墨水漁翁・林述斎(じゅっさい):1768~1841年 儒学者で林家(幕府の大学頭)中興の祖
松浦静山・松浦 清 :1760~1841年

水雲問答26

水雲問答(26) 百万の甲兵に動ぜず

雲:
 天下の大事を為る者は、百万の甲兵も我胸中に蔕芥(たいかい)ともせぬ一気象なくては参る間じく候。何れ大小の事、死生之を以てと申す勢なくば参るまじく候。衰世は人の存込甲斐なく存申候。危を見て逃れ申候工夫と概歎仕候。

(訳)
 天下の大事を為そうとする者は、百万の甲(よろい:鎧)を着た兵士もその胸中に蔕芥(たいかい:小さなとげやとるにたらないゴミ)ともしない(物ともせぬ)ほどの意気軒昂がなくてはいけません。いずれにしても大小の事は生死を度外視して当たるという勢いがなければなりません。衰世(乱世でない今の世)はどうも人の事にあたる思いも甲斐がない(意気地がない)と思います。危険だと見てすぐに逃げようと工夫するのは、嘆かわしいことです。

水:
 百万の甲兵有るに陣を列(つら)ねて前(すす)むも、我れ之(の)意を動かすに足らず。而(しこう)して後を以て大事に当るべし。

(訳)
 百万の甲兵が列をなして自分の方に向かってきても、我が意は動じないという気概があって、はじめて大事に当らなければなりません。


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水雲問答 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2021/03/22 06:08
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