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水雲問答(40) 権は早く握りて早く脱す

  これは江戸時代の(長崎)平戸藩の藩主であった松浦静山公が晩年の20年間に毎日書き残した随筆集「甲子夜話(かっしやわ)」に書かれている2人の手紙による問答集を理解しようとする試みです。

雲:白雲山人・板倉綽山(しゃくざん)1785~1820年 上州安中の藩主
水:墨水漁翁・林述斎(じゅっさい):1768~1841年 儒学者で林家(幕府の大学頭)中興の祖
松浦静山・松浦 清 :1760~1841年

水雲問答40

水雲問答(40) 権は早く握りて早く脱す

雲:
 権の一字、大臣たるものとらで叶はぬ者に候。得るとも、とかく禍の出来勝手の処に候。老子の、客となりて主とならずなど、処世の妙を吐露仕候なれども、時に寄り左様計(ばかり)も申し難く、早く握(にぎり)て早く脱し申候こと、第一と存候。公平にして権を握る禍、何に由りて生ぜんやと存候。

(訳)
 権の一字を考えますと、大臣というもの、いやそれ以外でも指導的立場にある者はみな権力を掌握しなければなりません。
しかしながら権力というものは、とかく禍いが生じやすいものです。「老子」の、「(何事によらず)客となりて主とならず」などと処世の妙を吐露仕していますが、時によっては、そのようにばかり申せませんので、権(力)というものは早く握って早く脱却することが第一と存じます。(権力を私しないで)公平にして権を握れば禍など起こりましょうや。


水:
 是は大に発明の高輪に候。老子の説より教となり申すべく候。

(訳)
 これはあなたが考えつかれたすばらしいご議論です。老子の説よりもっと教えとなるでしょう。


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水雲問答 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2021/03/26 06:56
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