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水雲問答(43) 百折不撓

  これは江戸時代の(長崎)平戸藩の藩主であった松浦静山公が晩年の20年間に毎日書き残した随筆集「甲子夜話(かっしやわ)」に書かれている2人の手紙による問答集を理解しようとする試みです。

雲:白雲山人・板倉綽山(しゃくざん)1785~1820年 上州安中の藩主
水:墨水漁翁・林述斎(じゅっさい):1768~1841年 儒学者で林家(幕府の大学頭)中興の祖
松浦静山・松浦 清 :1760~1841年

水雲問答43

水雲問答(43) 百折不撓

雲:
 百折不撓(ぎょう)の気象なきときは、大事を了(おへ)難し。喜て艱難(かんなん)を犯(おかす)ときは、民死を忘る。この語の如く、艱難に処して困苦の態あらはるるは英雄にあらず。機に臨みて而(しこう)して変を制するこそ識者の尊ぶ所に候。

(訳)
 いかなる困難にも屈しないという気構えが無い時は、大事をやり遂げることはむずかしいです。「喜んで艱難(かんなん:困難にあって苦しみ悩むこと)に対処する時は、死をも忘れる」、この言葉のように艱難に当たって困苦の様子が態度に表れるのは英雄ではありません。「機に臨みて而(しこう)して変を制する」(何かが起ったときに応じてその変化に対応してそれを克服する)ことこそが識者の尊ぶところです。

水:
 漢高、軍敗れて遂に苦しむことなし。大小七十余戦を歴(へ)て、漢家三百年の基を開き申候。其余一時に赫然(かくぜん)として芳を汗青(かんせい)に流(つた)ふる者、皆此の場なき者は之無く候。

(訳)
 漢の高祖は、軍が敗れても苦しんだ事はありません。大小七十余戦を戦って(敗れて)、遂に(最後に勝って)漢家300年の基を開いたといいます。このように一時は失敗に赫然(かくぜん)として(激しく怒って)も、かぐわしい香りを汗青(かんせい:火にあぶって汗のように染み出る油を取り去った青竹に文字を書いたところから記録や史記などのこと)に流す者、これらは皆、一時の失敗に動じることがなかった者です。


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水雲問答 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2021/03/27 16:25
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