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水雲問答(44) 甚だよきは甚だ悪しきこと有り

  これは江戸時代の(長崎)平戸藩の藩主であった松浦静山公が晩年の20年間に毎日書き残した随筆集「甲子夜話(かっしやわ)」に書かれている2人の手紙による問答集を理解しようとする試みです。

雲:白雲山人・板倉綽山(しゃくざん)1785~1820年 上州安中の藩主
水:墨水漁翁・林述斎(じゅっさい):1768~1841年 儒学者で林家(幕府の大学頭)中興の祖
松浦静山・松浦 清 :1760~1841年

水雲問答44

水雲問答(44) 甚だよきは甚だ悪しきこと有り

雲:
 夏日一天雲のなくして蒼々たるとき、忽(たちまち)に風雷驟雨(しゅうう)の変あり。是に因って観(み)るに、甚(はなはだ)よきは甚(はなはだ)あしきこと有るの語、信(まことに)に名言なり。陰陽消長の理、治乱興亡の数、皆然り。故に大に治(おさま)れば大に乱れ、少なく治まれば小く乱る。それ故に厳に過(すぐ)るは、中に却(かへっ)て下情の見へぬことあり。寛にして事の粛清(しゅくせい)するあり。人を威服せんとして却て其幣侮を受るあり。大小のこと皆々然り。其意味玩味(がんみ)すれば深し。

(訳)
 夏の日に空が一つの雲もなく青々と晴れわたっていた時に、突然風雷やにわか雨が降ることがあります。このによって考えると、「非常に良いとことは、逆に非常に悪いことである」というのは、まことに名言です。 陰陽消長(陰陽説での陰と陽の周期)の理(ことわり)や、治乱興亡の数も、皆そうです。故に大いに治まれば大いに乱れ、少なく治まれば小さく乱れるのです。
そのため、あまり厳格にしすぎると、かえって下情(かじょう:民衆の気持)が見えないことがあります。また逆に、寛大にしていても事が治まることがあります。人を威服(いふく)しようとすると、かえって弊害として侮(あなどり)を受ける事があります。大小の事みなそのとおりです。その意味を玩味(がんみ:よく味わうことすると結構深いです。

水:
面白く承り候。

(訳)
 ご意見面白く承りました。



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水雲問答 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2021/03/28 05:40
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