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甲子夜話の面白き世界(第15話)珍獣の話し(1)駱駝(ラクダ)

甲子夜話の世界(15)

(今までの「甲子夜話の面白き世界」の第1話からは ⇒ こちら から読めます)

江戸時代に長崎からいろいろな動物が日本に入ってきた。
そんな動物(珍獣)も甲子夜話に描かれている。
今回は「駱駝(らくだ)」について

《1》 駱駝(らくだ)の図

昨年、オランダ船が駱駝を乗せて長崎にやって来た。
その後、「東にも来るだろうよ」と人々は話していたが、ついに来なかった。
先年、ある候の邸に集まった時に、ある画工がその図をわしに見せてくれた。
今古い紙の中から見つけたので記した。
図に少し文を添えて云うには。
「享和三癸亥七月長崎沖へ渡来したアメリカ人十ニ人、ジャワ人九十四人、乗組の船積み乗せ候馬の図である。
前足は三節である。爪まで毛に覆われている。
高さ九尺(2,727㍍)長さ三間(5,455㍍)というその船は交易を請うが、禁制な国なので許されず還された。
これは正しくは駱駝(らくだ)である。この度、再度渡来した」。

rakuda.jpg

巻之8 〔14〕  ← クリック 元記事


《2》 おかしな駱駝(らくだ)の図

この三月両国橋を渡ろうとしたら路傍に見世物の看板が出ていた。
駱駝(ラクダ)の容貌をしている。
また板刻にしてその状態を印刷して売っている。曰く。
亜刺比亜(アラビア)国の墨加(メッカ)の産で丈九尺五寸(2.85 ㍍)、長さ一丈五尺(4.5㍍)、足は三つに折れる。
わしが、人を通して質問したことに対し答えた。
「これは去年長崎に渡来した駱駝の風にしていて、本物はやがて御当地にやって来るから」と言っている。
よって、明日人を遣わして見せるのに、作り物ではあるが、その状態を図にして帰った。
  図を見ると恐らく本物を模して作ったものではない。
「漢書」西域伝の師古の註に言う所は背の上の肉鞍(コブ)は土を封じたように高く盛り上がっている。
俗に牛封じと呼ぶ。
ある者曰く。駝状の馬に似て、頭は羊に似る。長くて程よく垂れた耳、身体は蒼褐黃紫の数色である。
この駝形には肉鞍が高い風でもなく、その形も板刻の言う所と合わない。
前に駝の事を言ったが、それはちゃんと(駱駝の特徴を)表している。

rakuda2.jpg

(注)ただこちらはヒトコブラクダのようだね。当時は珍しかったので区別できなかったかも・・・・。

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《3》 駱駝の読み方

前に駱駝(ラクダ)がやって来たことを記した。
今では市中でもよく知られるようになった。
前回、享和(1801〜1804)には見た者がなかった。
だから多くの者が見て、珍しいと云ったものだった 。
この程燕席亭である人が云った。
ずっと昔、すでに、この獣が日本へやって来ていたという。
そこで「国史」を紐解いた。
推古天皇の七年秋の九月癸亥(みずのと)1日、百済(くだら)から駱駝(ラクダノウマ)一疋、驢(ウサギウマ:ロバのこと)一疋、羊二頭、白雉ひと番(つがい)の貢物としてやって来た。
今、一千二百二十六年であるが、世間が珍しがったのは尤もである。
また「和名抄(平安時代の辞書)」もこのことを伝えている。
良久太乃宇万(らくだのうま)と和名が記してある。

巻之56 〔17〕  ← クリック 元記事

甲子夜話の面白き世界 | コメント(0) | トラックバック(0) | 2021/10/08 08:00
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