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玄蕃山(その1)

 今から3年ほど前に「天狗湯を探せ」として、千葉県・銚子にあった天狗湯の場所を訪ね歩いた記録を書きました。
これは江戸時代後期に儒学者平田篤胤の書いた「仙境異聞」に出てくる「天狗小僧寅吉」の晩年に子孫が開いた薬草湯「天狗湯」の場所を探した時に記したものです。(詳細は ⇒ こちら

そして、その後この寅吉が天狗修行した茨城県笠間市(岩間山)に縁のあった陶芸家の高橋協子さん、ピアニストの小林萌里さん、ギタリストの大柴拓さんなどによりアニメ化され、今年3部作が完成しました。


ホントにあった天狗のはなし1~寅吉物語~ YouTube ⇒ こちら
ホントにあった天狗のはなし2~ YouTube ⇒ こちら
ホントにあった天狗のはなし3 ⇒ 岩間山の天狗伝説3(こちら) ~ YouTubeは今後

さて、今回は寅吉の晩年に子孫が銚子に「天狗湯」という薬草の銭湯を始めたということで、何故のこの場所が選ばれたのかを少し考え始めています。

一般には笹川の諏訪神社の神職をしながら病気治療も行っており、その時に銚子の富豪であった西広重源さんという人の娘さんの眼病を治したために、西広家の近くの場所を提供されて銭湯を始めたと伝えられています。
ただそれだけなのでしょうか?
天狗は当時どのような存在と考えられていたのでしょう。
この山岳信仰との関連も気になりますね。

先日、銚子へ又行って来ましたので、少し散策して来ました。
昼食は久しぶりに飯沼観音門前の「観音食堂・丼屋七兵衛」さんでとりました。
この食堂の店内に江戸時代末期(安政2年:)に赤松宗旦が書いた利根川図志に載っているここ銚子の町の絵図が壁板に大きく書かれているのです。

PA140948s.jpg

観音界隈の図となっています。
中心は飯沼観音で、そこにはもう一つ「竜蔵権現」という表記も見られます。
江戸時代、ここ銚子は現群馬県の高崎藩の陣屋(飯沼陣屋)があり、遠い高崎藩と関係がありました。
東側(右側)にある陣屋というのが当時の高崎藩の陣屋跡です。
現在の町名も陣屋町となっています。

PA140946s.jpg

飯沼観音は坂東三十三観音の札所の一つで、一つ前の札所は現茨城県土浦市の小町の里近くにある「清滝寺」です。
飯沼観音、竜蔵権現の少し北東側に「大仏」とあります。
現在こちら側には「飯沼山 圓福寺」という寺があり、飯沼観音の管理もこちら側でやっていますので、昔は神仏混合の施設となっていたのだと思われます。寺の説明では奈良時代から法灯が受継がれてきた真言密宗の古刹と表現されています。

ただ、太平洋戦争末期の昭和20年7月に銚子の町はB29による空襲で火の海となり、このお寺などの施設の多くが灰となってしまいました。現在は大仏や三重塔、仁王門などが再建され、銚子の町のシンボルにもなっています。

genba山2

上の写真地図はGoogle Mapsのこの地方の航空写真地図です。
右側上部に赤丸で囲った「飯沼観音」があり、その左手に「丼屋七兵衛」さんが記入されています。
そして、その少し南側(下側)に円福寺があります。
きっと昔は、この観音もお寺もほぼ一体だったのでしょう。
今は銚子電鉄(銚子~外川)が走っていますが、当然江戸時代はありません。

また、地図の右上側に「天狗湯跡」との記載があります。
三年前に天狗湯探しをしていた頃は場所がわからずにうろうろしましたが、驚いた事に今ではこのような表記が地図に載っていました。
何か責任を感じてしまいますが、この表記については私は何もかかわっていません。
ブログに書いたら勝手に記入されてしまったのでしょうか?

天狗湯のあった位置から南西側に黄色い線を引いていますが、この線上に少し気になる箇所があったので、現在少し散策してみました。
あまり成果はないのですが、利根川図志の地図に「センゲン」と「アタゴ」との表示がされている場所と天狗湯跡を繋いだ線です。

現在、センゲンと書かれた場所はこの山の上に神社があり、扁額には「浅間神社・愛宕神社」が併記されています。

浅間愛宕
(浅間山の上には二つの神社が同じ拝殿に祀られている。また隣に小さな祠があり、天満宮も祀られている)

そして、利根川図志の「アタゴ」のあたりは「玄蕃山(ゲンバヤマ)」があります。
最近はあまりこの玄蕃山については地元の若い方もご存じない方も多いようで、私も知りませんでした。

昔は「観音さま と 玄蕃(げんば)さま」と言われていたのだとか・・・・
ヒゲタ醤油の創始者の名前がこの玄蕃山に屋敷を持っていた「田中玄蕃」という人物で、玄蕃様と呼ばれていたそうです。
この名前は代々世襲されて使われていたそうです。
ただ、この名前についても、もう少し調べて見ないと良くわかりません。
少し調べてから続きを書きます。

     (その2へ続く)

天狗湯を探せ | コメント(0) | トラックバック(0) | 2022/10/16 17:34
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