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常陸国風土記の世界<行方郡>(8)

⑭ 大麻神社(麻生)

「麻生(あさふ)の里には昔、沢の水際に麻が生へていた。
その麻は、竹のように太く、長さ一丈に余りあるほどだった。
椎、栗、槻、檪が繁り、猪や猿が住んでいる。野に住む馬は乗馬用になる。
 飛鳥の浄御原きよみ はらの大宮に天の下知ろし食しし天皇(天武天皇)の御世に、郡の大生(おほふ)の里の建部(たけるべ)のをころの命が、この野の馬を朝廷に献上した。
以来、「行方の馬」と呼ばれた。「茨城の里の馬」といふのはまちがいである」
と風土記には書かれています。

 行方市の麻生の街中に近いところに「大麻(おおあさ)神社」があります。
大麻は「たいま」とは読ませないようで「おおあさ」と読ませています。
麻は総(ふさ)と同じで千葉県東部からこの地域に徳島(阿波=粟)からやってきた種族(忌部氏)などが麻を広めていったと思われます。

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通りに面して入口の鳥居があり、神社の隣りは行方警察署(旧麻生警察署)です。

大麻神社(おおあさじんじゃ):(現地の説明板)

「常陸国風土記」に「麻生の里、古昔、麻、渚沐(なぎさ)の涯(きし)に生ひき。囲み、大きなる竹の如く、長さ一丈に余れり」とある。
これが即ち麻生の地名のいわれで、また、本社社名の由来と伝えられる。
御祭神は武甕槌命(たけみかづちのみこと)・経津主命(ふつぬしのみこと)の二柱の神の他に五柱の神々を祀る。
十月の第三、土・日・月の三日間、祭典が行なわれる。
付近にある大宮貝塚は、猪・鹿・狸・鯨の骨・人骨などが、貝殻と共に出土する縄文時代の集落跡である。」

ここでも鹿島と香取の祭神がともに重要な神としてまつられている。
通りから鳥居をくぐって階段を登る。
両脇には古木がこの神社の古さを感じさせる。
伊勢神宮(皇大神宮(内宮))のお札を一般に「大麻(たいま)」というようですが、これもお祓いの時に使われる大麻(おおぬさ)の名前から来ているそうです。

行方市のHPでのこの神社の由緒などでは「この神社は地元では「大宮様」と称され、創祀は大同元年(806)と伝えられ、祭神は武甕槌経津主命、手力男命、大宮姫命、倉稲魂命、市杵島姫命、水速女命の七柱です。
当時、蝦夷遠征の戦勝祈願のために征夷大将軍坂上田村麻呂が北関東に神社を寄進しており、近くには武甕槌命を祀る鹿島神宮や経津主命を祀る香取神宮が鎮座していたため、麻生の里にも武勇の神を祀ったものと考えられます。」と書かれています。 

 また「仏教が地方へ伝播されると地域の人々の依り代である神社と結びつき神仏習合の信仰が広がりました。
麻生地方の郷社であった大麻神社の別当として神宮寺、後の東光寺(現在の医王山蓮城院)が誕生し中世まで続きました。

又、大麻神社と神宮寺は、中世当地方を支配した常陸大掾庶流麻生氏の居城である羽黒山麻生城の北東鬼門に位置し、麻生氏一族への災いを防ぐ信仰の地となっていたのでした。

江戸時代に近江国から外様の麻生藩新庄氏が入部すると、麻生地方の人々の心の拠所で郷社であった大麻神社を庇護するとともに、氏神として諏訪神社を勧請しました。
また、麻生陣屋の南西裏鬼門には八坂神社を勧請して、馬の産地の特性を活かし疫病除けの馬出し祭を興し、今日まで伝統行事として受け継がれてきたのでした。」と書かれています。

常陸国風土記でも「行方の馬」としてこの地方を馬の産地として紹介しています。


⑮ 八坂神社(香澄の里)(天王社)

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「郡家より南へ二十里のところに、香澄(かすみ)の里がある。
古い伝へに、大足日子の天皇(景行天皇)が、下総の国の印波(いなみ)の鳥見(とりみ)の丘に登られたとき、ゆっくり歩きながら国を望み、東を振り向いて「海にただよふ青い波と、陸にたなびく赤い霞の中から湧き上がるやうにこの国は見えることだ」と侍臣におっしゃった。
この時から、人は、「霞の郷」と呼ぶやうになった。
里の東の山にある社には、榎、槻、椿、椎、竹、箭、やますげが多く繁る。
里より西の海にある洲は、新治の洲といふ。
洲の上に立って北を遥かに望めば、新治の国の小筑波(をくは)の山が見えることから、名付けられた。」とあります。 
天王崎のすぐ近くに「茨城百景水郷麻生」という碑が建っています。

場所は、この岬のすぐそばにある「八坂神社」の境内に置かれている。 
この石碑は霞ケ浦から吹き付ける風などでかなり読みにくくなっている。
参道の両脇は松並木となっており、海辺と言う印象が強い。霞ケ浦も昔は海だった。
 この八坂神社は慶長9年(1604)麻生藩の藩内24か村の総鎮守として祀られたという。
昔は旧暦の6月14日、15日に藩の祭典が盛大に行われ、廃藩後は、古宿、新田の両集落が中心となって「麻生祇園馬出し祭」が行なわれてきたという。いまでも7月最終の土日に祭典が行なわれており、八岐大蛇に見立てた飾り馬と須佐之男命を奉じた神輿がもみ合う神事が行なわれている。

⑯ 天王崎(新治の洲?)

風の塔(別名麻生タワー)という展望台が行方市麻生の天王崎に立っています。
入口の壁には霞ケ浦の帆引き船の絵がタイルに描かれています。
塔には真中に螺旋階段があります。
一番上についているのは帆引き船のモニュメントのようです。

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「新治の洲」から新治国(筑波山)を望む

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この麻生の天王崎には白帆の湯という日帰り温泉施設(国民宿舎と隣接)があり、この浴室が最上階にあり眺めが良いです。やはりこの場所の夕日は美しい。

(その9へ続く)

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常陸国風土記の世界<行方郡> | コメント(0) | トラックバック(0) | 2023/07/07 22:48
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