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三浦杉(3)-三浦介と源頼朝

さて、この話(三浦杉)はまだ終わりではありません。今日が最後で三回目です。
この三浦杉を三回にも分けて紹介することになるとは最初は思いませんでした。
歴史も調べると知られていないことがたくさんあって面白いものなんですね。

歴史の知識も中途半端で、調べる時間が限られており、全てが中途半端になってしまうことは残念ですが、このブログでは埋もれた歴史を掘り起こして、その時に人々がどんな暮らしをしたり考えていたのかなどがそこに行ってみた景色と重なっておぼろげながら見えてくるのが楽しみなのです。

こんなことを掘り下げるなんて事は、やはり少し変わっていますね。

さて、三浦介(みうらのすけ)と上総介(かずさのすけ)の活躍で退治された(白面金毛)九尾の狐は巨大な毒を出す石(殺生石)に変わり、今度はそこに近づく住民を始め、やってきた多くの高僧たちををその毒で何人も殺してしまいます。
(実際は温泉地の近くですから硫化水素のガスをたくさん出していたのでしょう)

三浦介たちが悪狐を退治してから200年以上経った南北朝時代に会津の喜多方に示現寺という寺を再興した高僧の「源翁(玄翁)」が1385年8月にこの殺生石を破壊してこの殺生石が各地に飛散し、毒は小さくなったといわれています。

この「玄翁」の名前からトンカチ(金槌)のことを「げんのう(玄能)」と呼ぶようになったそうです。

さて、この全国に散らばった殺生石ですが、どういうわけか「高田」という地名のところに飛んでいったといわれています。

美作国高田(岡山県真庭市)、越後国高田(新潟県上越市)、安芸国高田(広島県安芸高田市)(一説には美作高田)、豊後国高田(大分県豊後高田市)などです。どういうわけでしょうか。今はわかりません。
そのうちに何かと関連してくればわかるかもしれません。

ところが、この悪狐(九尾の狐)ですが、江戸時代の娯楽の対象として浮世絵、歌舞伎、神楽、読み物などにたくさん登場するのです。
庶民にとっては中国、インド、日本と三国を股にかけ、美貌の化け狐が大立ち回りをして退治される話は爽快な気分となって楽しむことが出来たのでしょう。

また、那須に近い黒磯駅で2005年まで売られていた駅弁「九尾の釜飯」は益子焼の容器が使われていたそうです。現在は高速道路の上河内SA(下り線)のレストランで復活して駅弁ではないですが食べることができると書かれていました。

この日本の九尾の狐といわれる「玉藻前」は鳥羽上皇の寵愛を受けた藤原得子(ふじわらのなりこ)、後の美福門院(びふくもんいん)がモデルといわれています。このあたりも知っておくと面白いのかもしれません。

ここまでが、調べると出てくるのですが、まだ疑問が残ります。これは伝説のお話です。本当は何があったのでしょうか。

miurasugi06.jpg

 (吉田八幡神社入り口の鳥居)

水戸光圀が三浦杉と命名した「三浦(大)介」とはどんな人物なのでしょうか。興味がわきますね。

この三浦氏は桓武平氏系の坂東八平氏の一つです。ですからもとは平氏ですね。
しかし、源氏の祖である八幡太郎義家の奥州征伐である前九年の役での功績を認められ、相模国の三浦半島に領地を与えられ、後三年の役でも功を立て、三浦介(みうらのすけ)を称し相模の東(衣笠城)と安房(千葉)に領地を持つ大きな勢力になっていきました。

1180年に源頼朝が伊豆で挙兵するとこれに応じて、三浦大介義明は頼朝側にて挙兵し、衣笠城から出陣します。
しかし、途中で、石橋山の戦で頼朝が破れたことを知り、衣笠城に戻って篭城。
そして、敵方の畠山重忠に追い詰められ、一族を安房へ逃がし(頼朝も何とか難を逃れて真鶴岬から安房に渡りました)、1人城に残って戦死(89歳)したとされる人物です。

もう1人の上総介広常も平姓ですが、頼朝の挙兵の時に大いに活躍した人物です。
広常の加担がなければ頼朝の挙兵は失敗していただろうといわれています。

以前に石岡の大矢橋事件を取り上げた時(こちら)に佐竹義政を大矢橋の上で斬った人物です。

しかし、大きな力を持っていた広常を恐れた頼朝は謀反の疑いがあるとして、梶原景時に命じて殺させてしまいました。
しかし、実際には謀反の疑いが間違いであったことがわかり頼朝は非常に後悔したといわれています。

さあ、この二人に陰陽師を加えて、九尾の狐の物語は出来ているのです。陰陽師も時代は合いませんが、有名な安倍清明であるとの話になっているものもあります。

江戸時代にはこの「三浦介」なる人物は人気があったのかもしれません。
でなければ「三浦杉」などと命名しないのではないでしょうか。
それまで呼ばれていた「鎌倉杉」でいいですよね。

もう一つこの神社で不思議なのは神社の名前です。
最初は「八幡神社」だったようです。八幡神社は全国に1万以上はあり、多くは武士の守り神として鎌倉時代に建てられたものでしょうが、ここの創建はそれより300年くらい前の807年です。

それが三浦杉の名前に変わった時に「吉田神社」と改名しています。いまは氏子さんたちの要望で「吉田八幡神社」というそうです。

この「吉田」とは何でしょうか。常陸平大掾氏の一族である「吉田氏」と関係するのでしょうか。
吉田氏であれば行方氏や麻生氏などとも繋がりが出てきます。
常陸平大掾であった平為幹(ためもと)の次男(清幹)が興した氏です。
この清幹の娘が源義業に嫁いでおり、ここから佐竹氏が発生していきます。

この神社との繋がりは調べたけれどよくわかりません。ここの地名は「小田野(宿)」です。
宮司さんは「高野」姓で江戸時代から続いています。

調べているうちに、もう一つ少し面白いことがわかりました。
この悪狐の話をもとに「悪狐伝(あっこでん)」という神楽が安芸高田市(広島県)に伝わっています。
この地は毛利元就が治めた土地で「吉田町」といいます。

何か関係あるのでしょうか。
毛利元就が小さなところから中国全体(特に広島)を制した非常に優秀な武将がこの地で城を構えていたのです。
そして、常陸国の宍戸氏が安芸に渡って土着した安芸宍戸氏と手を組んで広島全土を手中に収めたのです。

意外に日本も狭いですね。こんなところに身近な宍戸氏の名前が出てくるなんて思いもしませんでした。

そして江戸時代の広島藩と常陸の真壁藩や笠間藩は赤穂の浅野家の歴史を見ると皆つながってきます。
これも面白い事柄ですね。

もしここを訪れるなら春の桜の頃か、麓の駐車場のわきにアヤメ公園がありますのでアヤメの咲く頃がよさそうです。

P1038s.jpg
(2011年4月16日撮影。三浦杉公園)

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鷲子・美和・高部 | コメント(6) | トラックバック(0) | 2011/10/15 10:18
コメント
こんにちは
今日は雨模様になってしまいましたね!吉田神社から色々な事柄や地方にと繋がって、歴史も 理解すれば楽しいのでしょうネ・ 安倍晴明の生まれた所は 明野とか‥ 水戸市県立歴史館では 今日から来月23日まで 妖怪見聞録と言う催しをやっているようですよ!
Re: こんにちは
みーさん
こんにちは。
この雨も東の海寄りはまだ良い方らしいですね。
震災避難所などの天気が心配でしたが少し安心しています。

マイナーな歴史ブログにお付き合いいただき嬉しいです。
安倍清明が明野の生まれとの説も知っていました。
清明神社があり、日帰り温泉施設「清明の湯」などもありますよね。
この時代のことは不明な部分が多いですね。
将門の話なども重なってまだ理解できていません。

> 水戸市県立歴史館では 今日から来月23日まで 妖怪見聞録と言う催しをやっているようですよ!
・・・連絡ありがとうございます。
自分で書いていてなんですが、あまり妖怪は好きではありません。
恐いもの見たさもあるのでしょうが、かすみがうらの資料館でも昔、死後の世界のような展示会をしていました。
でも、山にある神社などに行くと妖怪が出そうなところはたくさんあります。
一人で行くのですが、男でも結構怖いです。
No title
おはようございます
(はぁ~やっと訪問できました…)

>あまり妖怪は好きではありません

そ、そんな!Σ(゚д゚lll) ←妖怪大好きっ子

史実と伝承。 どこがどう重なるのか
探求するのは興味深いと同時に大変だと
思います(ホント、よく調べられてますよね)

九尾の狐(玉藻・殺生石)は…私らしくアニメで
昔知りましたw ここに頼朝や安倍清明が
からんでくるとは!

妖怪は当時の人々の生活と強い繋がりがあって
生み出されているケースが多いから(何か疫病
が流行った→「妖怪のせい」にして不安を解消
する)Romanさんの研究には必ず登場してくる
でしょうねw 「百鬼夜行」なんて興味深々で
見ちゃいます♡
Re: No title
NINAさん
おはようございます。訪問コメントありがとうございます。

妖怪大好きっ子NINAさん 

私の時代はアニメ・まんが世代でないのでわからないっていうのが正直なところ。
みんな詳しいのですね。こんな狐知らなかったです。

> 史実と伝承。 どこがどう重なるのか探求するのは興味深いと同時に大変だと
> 思います(ホント、よく調べられてますよね)

ありがとうございます。調べてもわからないのに、何故か調べて見る。
すると別な興味がわいてきて、また調べる。繰り返しているうちに
つながることもあれば、発散してしまうこともある。

> 妖怪は当時の人々の生活と強い繋がりがあって
> 生み出されているケースが多いから(何か疫病
> が流行った→「妖怪のせい」にして不安を解消
> する)Romanさんの研究には必ず登場してくる
> でしょうねw 「百鬼夜行」なんて興味深々で
> 見ちゃいます♡

面白そうですね。
でもこの辺では誰もいないお寺などを散策すると妙にリアルでビクビクすることも・・・。
No title
こんにちは。
桜並木の公園の風景、とても素敵ですね。
毎年このような桜の花が見れるのですね。
緑も多くて好いところですね(^^)
Re: No title
ふみりんさん
こんばんは。

今年春に撮った写真ですが、この頃の山は桜と
新緑がマッチしてとてもいいんです。
日本っていいななんて気持ちになります。
訪問コメントありがとうございます。

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